テーマパークダンサーは夢の世界の住人
子供から大人まで、とにかく老若男女を問わず楽しめる夢の世界、それがテーマパークです。
現在、日本のテーマパークの数は100施設を超えているのですが、このテーマパークの数は日本の面積から考えると、実に世界のテーマパーク数トップであるアメリカに匹敵すると言われています。それほど日本はテーマパーク大国であり、世界的に有名な大型テーマパークから、地域に根付いた中小型テーマパークまで、たくさんの様々なテーマパークがあります。そして、これらのテーマパークを夢の世界として形づくりしているのは、アトラクションやパビリオンはもちろんですが、もうひとつ欠かせないのがテーマパークダンサーの存在です。
多くのテーマパークでは、従業員をキャスト、来場者をゲストと呼んでいます。これは、夢の世界に訪れた来場者に最上級のおもてなしをするというサービス精神の表れで、そういう意味ではテーマパークでの仕事は、人を喜ばせる究極のエンターテインメントと言えるのかもしれません。その夢の世界の住人とも言えるのが、キャラクターやダンサーたちなのです。
そんな観る人たちに笑顔と元気を届けられるようなテーマパークダンサーになりたい!という志望者も年々増加しており、テーマパークダンサーへの道も狭き門となってきました。とはいえ、以前はパレードやステージでのショーを行うのは大型テーマパークだけだったのですが、最近では中小型テーマパークでも行われており、その影響は確実に広がっているようで、ダンサーにとっても様々なテーマパークへ活躍の場が広がっていると言えます。
ところで、夢を与えることができるテーマパークダンサーとは、具体的にはどんな仕事をしているのでしょうか?生活はできるのでしょうか?そして、一体どうすればなれるのでしょうか?
テーマパークダンサーの種類
まず、テーマパークダンサーには、園内のパレードに出演するパレードダンサー、各アトラクションやパビリオンのテーマに沿ったステージやレストランに出演するステージダンサー、同様にそのすべてに出演するキャラクターダンサーがいます。
パレードダンサーに比べるとステージダンサーは、色々なジャンルのステージに対応しなければならないので、高いスキルと経験が必要とされます。クラシックバレエやジャズダンスが基本となったステージダンスを要求されることもあれば、タップダンスやラテンダンスを要求されることもあります。
キャラクターダンサーは、それぞれキャラクター特有の表現力を身につけた上でダンスをするので、徹底した特別な訓練が必要とされており、それを専門に目指しているダンサーも大勢います。ステージダンサーの要求されることにプラスして、キャラクターダンサーとしての役作り、演技力も必要となってきます。
テーマパークダンサーの仕事
パレードダンサーは、テーマパークによっても回数は異なりますが、1日1〜4回のパレードに出演します。ステージダンサーは、こちらもテーマパークによって回数は異なりますが、1日1〜3回のステージに出演したり、場合によってはパレードにも出演します。それが週3〜6日というペースで続いていきます。
キャラクターダンサーは、仕事内容はパレードダンサーやステージダンサーと変わりませんが、そのテーマパークの言わば「顔」に扮する花形のダンサーです。着ぐるみはもちろん、メイクや重厚な衣装などを身にまとい、キャラクターのイメージを完全再現しながらダンスしなければいけないので、かなりの責任と重労働と言えるでしょう。
だいたいのテーマパークにおいて、各ダンサーとも出番をこなすだけでなく、シーズンごとのイベントの準備や、日々のパフォーマンスのクオリティー維持と向上のため、リハーサルやレッスンに毎日を費やすことになるようです。
テーマパークダンサーの収入
テーマパークダンサーの給与形態は、運営会社により異なっていて、時給、日給、月給と多様な設定があります。パレードやショー、キャラクターなどの配属先や出演回数によっても変わってきますが、おおよその相場は時給1200円〜、日給7000円〜、月給7万円〜となっており、もちろんキャリアや能力に合わせて上がっていきますので、定期的な内部オーディションに合格すれば、昇給することができます。そして、主役クラスのダンサーともなれば、収入も十分なものとなるでしょう。
基本的な契約期間は1年間ですが、数ヶ月間のスポット契約で採用される場合もあります。契約期間終了後には再度オーディションを受けることになりますが、すでに人気があったり、主要なクラスのダンサーには、契約期間が延長されるような特典もあります。
募集に関しては、主に年1回の定期的なオーディションがあり、欠員が出た場合などには、契約中のステージダンサーからの紹介を受けることもあります。また、期間限定イベントなどのダンサーを短期バイトとして募集することもあります。
ただ、テーマパークダンサーとしての生活は、他のダンサーより収入は比較的安定しているとは言え、ダンサーとしてのクラスが上がらないと、なかなか厳しいものがあると言われています。それほど収入にはこだわらず、そのテーマパークが好きだから、人の喜ぶ顔が見たいからという理由で就いている人が多く、それにやりがいを感じて続けていられるというのが実情のようです。
テーマパークダンサーを目指すなら
テーマパークダンサーには、ミュージカルダンサーのステージダンスにも通じる部分があり、クラシックバレエとジャズダンスの経験が必須とされています。最近ではストリートダンスやブレイクダンスなどの採用枠も出てはきましたが、やはりメインはクラシックバレエやジャズダンスのスキルが必要不可欠となります。ステージによっては、それに加えタップダンスやヒップホップダンス、パントマイムなどを求められる場合もありますので、総合的に学べるダンススクールや養成所に通うのが一番の近道かもしれません。
また、キャラクターダンサーを目指すなら、表現力を養うために演技や手話の勉強が効果的とも言われています。積極的に取り入れていきましょう。
それから、何よりも必要となってくるのは体力です。基本的には1日に複数回のパレードやステージを毎日連続して消化しなければいけないので、体調管理は当たり前、基礎体力も十分につけておく必要があります。
そして、ダンスのスキルや体力以上に重要とされているのが、笑顔です。人を笑顔にするのは笑顔であり、最上級のおもてなし、サービス精神を表現できるのは、笑顔にほかならないでしょう。どんな状況でも笑顔を絶やさずにいるというのは、意外と大変なものです。普段から笑顔を意識して、習慣として身につけておきましょう。
オーディションに関しては、一般的に書類選考と実技審査、そして面接という所が多く、流れとしては書類選考通過後、ダンスの基礎的なものを見る一次審査、それが通過できれば、ダンスの実地的な適応力を見る二次審査、それが通過できると最後に面接となっているパターンが多いようです。
大型テーマパークでは、ほとんどが運営会社との専属の契約となりますが、中小型テーマパークの場合には、プロダクションからの派遣という形も多いので、プロダクションに所属するのもひとつの方法かもしれません。
テーマパークダンサーは、夢の世界から観る人を笑顔にできる唯一のダンサーです。人のために踊ることができる貴重な仕事であり、とてもやりがいのある仕事だと思います。テーマパークが大好き、とにかく人を喜ばせるのが大好きという方は、迷わず選択されてみてはいかがでしょうか。