ご機嫌な赤ちゃんを見ながら、「この子と会話ができるようになったらどれだけ楽しいだろう!」とわくわくすることはありませんか。
あるいは、泣いている赤ちゃんに「どうして泣いているのか言葉で伝えてくれたらどれだけ楽になれるだろう・・・」と途方に暮れることは?
赤ちゃんは、いつから言葉を話せるようになるのでしょうか?
赤ちゃんが「意味のある言葉」を話すためには、まずはその言葉の意味を理解することが先です。
では、月齢と言葉の関係や話しかけ方、親が使う赤ちゃん言葉の是非など幅広くご紹介していきます。初語ランキングも紹介するので、ぜひ育児の参考にしてください。
はじめて「パパ」「ママ」なんて呼んでくれた日には、感激必至ですね!
月齢と言葉の関係
国立成育医療研究センターが公表しているデータによると、赤ちゃんは月齢ごとに言葉への関わり方がどんどん変化していくようです。
・2か月 「あー」「うー」などの発声
・3~4か月 声に出して笑う、喜ぶ
・8か月 「パ」「マ」「ダ」などの発声
・10か月 喃語を話す
・11か月 「ガ」「バ」「ダ」などの音を3つ以上つなげて発声する
・12か月 意味はなく「ママ」「パパ」と言う
発達は人それぞれに異なりますが、およそ9割の赤ちゃんはこのような変化を辿ります。「うちの子はこの月齢なのにまだコレができない」など焦らず、今しかないかわいいおしゃべりを楽しんでくださいね。
もし不安があれば、地域の母子健康センターなどに相談しましょう。
赤ちゃんへの話しかけ方
赤ちゃんの中では、日に日に「言葉の芽」がたくさん育っています。
まだ口が発音に適するまで発達していないだけで、「あの人の名前はママっていうんだな」「これはお花っていうんだな」などぼんやりしたことは理解しているといわれています。
でも、赤ちゃんと二人きりで育児をしているとなんとなく孤独に感じませんか?
「はいオムツ替えますよー」「ミルクの時間ですよー」「今日はご機嫌なのね」など話しかけてみても、赤ちゃんから何のアクションもないと、なんだか一方通行なようでため息が出てしまうこともあるのではないでしょうか。
一方で、言葉の芽をたくさん植えてあげようと反応を気にせずにあれこれ話しかけるパパママも、無反応すぎると虚しさを覚えることもあるはず・・・。
言葉が話せない赤ちゃんには、「赤ちゃんが発声したときに同じ発声で応える」だけで十分といわれています。
もちろん、たくさん話しかけるのは悪いことではありませんが、それが原因で親が疲れては元も子もありません。
たとえば赤ちゃんが「あーあー」と発音したら、赤ちゃんの目を見たりスキンシップをしたりしながら、「あーあー」と返してあげてください。何かを指さして「うー」と言っているのなら、「うー!あれは葉っぱだよ」など、赤ちゃんの問いかけに対して同じような言葉で答えたうえで、正しい言葉を教えてあげましょう。
繰り返していくうちに、赤ちゃんは「自分の声に反応してくれている」ということがわかるようになります。これこそが、コミュニケーションの基礎。
「こんなもの見つけた!ママに教えたい」「これは何?教えて」など、物事に積極的に関わる姿勢ができあがるのは、パパママのレスポンスがあってこそ。
無理に「ほらこれが葉っぱだよ。あの青いのがお空。あそこに歩いているのは猫。今日は風が気持ちいいからお散歩も楽しいね」など話しかけつづけなくても大丈夫。
言葉がけは、パパママの負担にならない程度でOKなのです。ただ、赤ちゃんが話しかけているときには丁寧に反応してあげてくださいね。
赤ちゃんがはじめてしゃべる「意味のある言葉」ランキング
赤ちゃんがいるご家庭では、「この子がしゃべるようになったら一番初めに『ママ』って言ってほしいわ」「いや俺になついているから『パパ』だろ」なんて微笑ましい会話が繰り広げられることもあるでしょう。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所が行った調査によると、赤ちゃんの初語ランキングは以下の通り。
1位 ばぁ(いないいないばぁの流れで)
2位 まんま(ごはんなど食べ物)
3位 わんわん(犬)
4位 ママ
5位 パパ
6位 あっ!(注意を引きたいときに)
7位 はい(返事や物を手渡すときに)
8位 バイバイ
9位 あーあ(なにかを失敗したときに)
10位 アンパンマン
「ママ」「パパ」はまさかの4~5位。1位の「ばぁ」は、発音的には「バー」と1語を伸ばすだけなので赤ちゃんにとっては言いやすいのかもしれませんね。
10位には「アンパンマン」もランクインしていますが、アンパンマンは発音的にはかなりの難易度。筆者の子どもは「アッパッ」などと発音していました。もしかしたら、大人が聞いたときに「え?何?」と思うようなことでも、赤ちゃんにとってはしっかり発音しているつもりなのかもしれません。そう考えると、ランクインはしていなくても赤ちゃんにとっては「意味をわかったうえでちゃんとしゃべってるよ!」という言葉は多いのかも。
6位の「あっ!」などは、一見して「これは別に言葉じゃないし・・・」と流してしまいがちですが、言葉の一つひとつをじっくり聞いて分析してみると、とっくに初語を話しているのかもしれませんね。
また3位の「わんわん」は、犬を指すわけではなく、動物全体のことを「わんわん」ということも多いようです。猫が歩いていても「わんわん」、鳥が飛んでいても「わんわん」。こんなとき、「今から正しい言葉を教えておかないと誤った認識で定着してしまうのでは」と心配されることもあるかと思いますが、まだ赤ちゃんの段階では特に正す必要はありません。
せっかく覚えた言葉を一生懸命に披露しているのに、都度訂正すると積極性を失ってしまう結果になることも・・・。
気になるようなら、猫を見てわんわんと言ったときには「そうだね、猫が歩いているね」など、そうだねと肯定したうえで正しい言葉をさりげなく混ぜてあげてください。「違うよあれは猫だよ」と頭ごなしに否定しないことがポイントです。成長につれて自然と正しい言葉が身につきますし、何より今は好奇心の芽を摘まないことのほうが大事な時期ですから。
親がつい使う赤ちゃん言葉・・・やめたほうがいい?
赤ちゃんに、つい「赤ちゃん言葉」で話しかけるご家庭は少なくないでしょう。
たとえば本来であれば「犬がいるね」と話しかけるべきところを「わんわんがいるね」、「そろそろ寝る時間よ」のところを「そろそろねんねよ」など・・・。
赤ちゃんがこのまま「赤ちゃん言葉」を正しい言葉として覚えてしまってはいけない!と焦りを感じるパパママは多いですが、実は「赤ちゃん言葉を使ったほうが赤ちゃんの言葉の発達が早い」という研究結果があります。
米ワシントン大学とコネチカット大学の共同研究によると、「赤ちゃん言葉で話しかけていた家庭」と「赤ちゃん言葉をあまり使わなかった家庭」において2歳時点での語彙力を比較したところ、ボキャブラリーに3倍もの差がついたということです。
「赤ちゃん言葉で話しかけていた家庭」は、平均433語。
一方で「赤ちゃん言葉をあまり使わなかった家庭」は、平均169語。
「赤ちゃん言葉」は、単純な音の繰り返しが特徴です。「わんわん」「にゃーにゃー」「ねんね」のように、同じ音を繰り返すのは赤ちゃんにとって耳障り抜群。
自然と単語を覚え、意味のある言葉としてスッと取り込まれていくのです。
あっという間に過ぎ去ってしまう赤ちゃん時期だからこそ、親も子も赤ちゃん言葉を存分に楽しんでくださいね!
まとめ
赤ちゃんの言葉の発達は、月齢と共に進歩していきます。
「うちの子はまだ言葉を話さない」と頭を抱えていたとしても、実は「あっ!」などが意味のある言葉として発せられていることも。
ぺらぺらとおしゃべりができるようになるのも嬉しいですが、わたがしのように甘くてふにゃふにゃな発音を楽しめるのは今だけ。
言葉の発達を楽しみながら、赤ちゃんの成長をゆったり見守っていきましょう。