映画俳優に向いている人1:映画が好きな人
映画俳優に向いているのは「映画好きの人」といえるでしょう。仕事とは関係がなくても劇場に通ったり、古い作品のDVDを鑑賞したりする習慣があるなら、映画の現場でも比較的スムーズに適応できます。なぜなら、映画の現場では肉体的にも精神的にも大変な状況が続くため、好きという気持ちがないと乗り越えられないからです。
商業作品ともなると、映画制作には莫大な予算とスタッフが投じられています。クランクインからクランクアップまで早くて数カ月かかります。企画段階から数えると、数年かかるケースも珍しくありません。しかも、その間、スタッフはプレッシャーや制約にさらされ続けます。天候や睡眠不足、待機時間の長さといった困難も絶え間なく襲いかかってきます。きびしい条件化でも根気強く撮影を行えるのは、現場に映画愛があるからこそです。映画俳優を目指すなら、まずは自分の中にどれだけジャンルへの思い入れがあるかを見直しましょう。
映画俳優に向いている人2:素直な人
撮影現場では、俳優は基本的に同じ演技を繰り返し求められます。リハーサルやカメラテストなどの理由はもちろん、編集でカットを割っていくためにも同じシーンを別角度から撮っていく必要があるからです。さらに、セリフを間違えるなどのNGで撮り直しになるのも日常茶飯事です。こうした要求にも素直に従える性格は、映画俳優にとって大事なことといえます。
素直さがない俳優は、現場でスタッフに反発しかねません。特に、演出部の意向と違う演技をして撮り直しになったとき、プライドが邪魔をして受け入れられないこともあります。また、NGを出していないにもかかわらず、監督がより高度な演技を期待してテイクを重ねてくる状況も珍しくありません。そのたび「どうしてそんな必要があるのか」と疑問に感じていては、演技の質は落ちていきます。映画俳優は撮影中に反発していると成長が止まってしまいます。逆に、他人の意見に耳を傾けられる余裕があるなら、1本の撮影中にステップアップができるでしょう。
映画俳優に向いている人3:コミュニケーション力が高い人
一般的に映画俳優と聞けば、自我の強いスターを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし実際には、鶴の一声で現場を掌握できるようなスター俳優は世界的にもごくわずかです。ほとんどの映画俳優は現場の意見を聞き入れながら、カメラの前で要求に応えていかなければいけません。プロ意識は大切でも、余計な自我は邪魔になる場合すらあります。つまり、コミュニケーション能力が高くて聞き上手な人ほど映画俳優には向いています。
そもそも、撮影現場の主役は俳優だけではありません。映像面は撮影監督が仕切っていますし、音響や美術、制作進行などについてもそれぞれ責任者がいます。俳優部にせよ、演出部と打ち合わせを重ねながらキャラクターを掘り下げていく必要があるのです。すべての部署が、ほかの部署との連携によって成り立っています。映画俳優志望者もまた、できるだけ多くのスタッフと会話するように意識しましょう。そうすると、現場を俯瞰的に見られるようになり、スムーズに仕事を進められます。
映画俳優になるために大事なこと1:脚本を読む力
撮影現場では、すべての仕事が脚本を中心に進んでいきます。つまり、「脚本の読解力」は映画俳優を目指すうえで最低限そなえておくべき大事なことです。脚本を渡された時点で、自主的に俳優の役割、役の性格、メッセージなどをつかんでおかなくてはいけません。そのためには、過去作品の脚本にたくさん触れ、実際の完成作品と見比べながら読解力を鍛えましょう。
脚本以外の文章も、読解力の訓練になりえます。たとえば、小説もセリフとストーリーで構成されているという点で脚本との共通点があります。特に、キャラクターの心理をつかむためには効果的なテキストでしょう。脚本を通して演技の間を想像できるようになるには、小説から心理描写を学ぶのが得策です。そして、脚本にせよ小説にせよ、勉強するには質の高い作品に触れるのが大前提です。質の低い作品は登場人物の気持ちをセリフやト書きで説明してしまっています。こうした作品ばかり読んでいると読解力が伸びないので、名作とされる脚本から演技のヒントを得るようにしましょう。
映画俳優になるために大事なこと2:セリフを覚える能力
セリフを覚えてから現場に入るのは、映画俳優に不可欠な心がけです。セリフ覚えが悪いと共演者だけでなく、現場全体に迷惑をかけます。セリフを入れている間、進行が遅れてしまうからです。撮影現場は時間との戦いであり、1人の都合でスケジュールを乱すのは大失態です。悪い噂が広まり、仕事がまわってこなくなってもおかしくありません。さらに、演技の質を高めるためにもセリフは完璧に覚えておきましょう。セリフの記憶が曖昧だと演技の自由度が低くなり、役に入りきれなくなります。また、役のオーディションでセリフをもらったのに覚えてこなかった俳優は、やる気がないとプロデューサーから判断されてしまいます。
それでも、なかなかセリフを覚えられない俳優は、単なる「暗記」として脚本と向き合っている証拠です。セリフは前後の設定があって導き出されるものです。つまり、脚本を熟読し、ストーリーや自分以外のキャラクターまで頭に入っていればセリフ覚えはさほど難しくありません。脚本の一部ではなく全体に目を向けると、セリフがすんなり入ってくるようになるでしょう。
映画俳優になるために大事なこと3:人間観察力
俳優は原則として虚構の中で、作られた人物を演じるのが仕事です。しかし、どこまでも作り物めいた演技では観客を感動させられません。たとえ虚構であっても、登場人物に魂が宿るからこそ説得力が生まれるのです。そして、撮影現場で登場人物を輝かせるには映画俳優の力量が不可欠です。映画俳優になるためには、ありとあらゆる場面で人間に対する興味を抱くようにしましょう。そして、現場での演技に活かせるよう、記憶に留めていきます。
たとえば、何気ない瞬間の人間観察は演技力を養う習慣となりえます。電車内やショッピングモール、繁華街など人の多い場所では常に目を光らせてみましょう。最初はただの他人にしか見えていなかった群集も、よく観察すればそれぞれに個性があるとわかってくるはずです。身近な人間であれば、より深い観察対象にできます。どんなことを話しているときにどんな仕草をしているのかなど、内面と外見の関係を徹底的に探ってみましょう。
映画の世界で生きていくために俳優は努力が必要
総合すれば、映画が好きで素直な性格をしており会話力が高い人は映画俳優向きです。ただし、向いているというだけで、すぐ映画俳優になれるわけではありません。自分の資質を伸ばすために日々の訓練を忘れないようにしましょう。俳優は撮影現場以外でも学べる時間はたっぷりあります。自宅にいる間も脚本や小説を読めば、役作りに活かせます。電車に乗っているだけの時間ですら、乗客を見渡せば人間観察ができるはずです。俳優にとって大事なことは日常に転がっています。わずかな瞬間も無駄にせず、努力を続けて撮影現場で活躍できるようになりましょう。