子役や俳優などのような役者になりたい場合でも、歌手を目指している場合でも、演技力や歌唱力のような能力と併せて審査のポイントとなるのが個性です。オーディションは、ほかにはないその人だけが持つ個性を見抜く場となっています。ただし、個性をアピールすることばかりに気を取られて礼儀やマナーをおろそかにしてはいけません。プロとして活躍するためには礼儀やマナーを守ることは基本です。
そこで、オーディションで注意したいマナーについて詳しく解説します。
遅刻は厳禁!会場入りは15分前を目安に
社会人としての基本的なマナーである遅刻への注意は、オーディションでも特に気を付けておきたいポイントです。芸能界ではたくさんの出演者やスタッフが動くことも多く、予定通りに動かないとスケジュールに穴を開けてしまったりして多くの人に迷惑をかけることになります。
このため、オーディションの段階で遅刻をするような人は審査でマイナスの評価を受けると思っておいたほうがよいでしょう。
オーディションで厳禁とされる遅刻を防ぐためには、約束の時間よりも早めに行動することが対策です。オーディションへ行く前には、自宅で再度審査員へのアピールの練習をしたり、メイクや服装のチェックをしたりしておきたいと考えることもあるでしょう。そのため、慌ててギリギリに家を出ることになるケースは少なくないものです。
しかし、どんなに受け答えの内容や服装が完璧であっても、遅刻をしてしまっては台無しとなります。会場への到着はオーディション開始の15分程度前までを目安としておきましょう。
もしも、余裕を持って出発し予定より早くに到着してしまった場合には、会場内で待つのは避けたほうがよいでしょう。予定の時間までは近くのカフェなどで過ごすようにします。予定よりも早い時間だと会場でほかのオーディションを行っていたり、準備が終わっていなかったりする可能性もあるからです。
また、会場までの交通手段は自由ですが、自動車を利用すると事故などの心配があるほか、渋滞に巻き込まれる可能性もあるため移動は基本的に公共の交通機関を利用したほうが安心です。
特に、遠方から向かう場合には早めに到着できるように意識的に早い行動を心がけましょう。場所によっては、前日に移動しておいて会場の近くで宿泊しておいたほうが遅刻のリスクを避けることができため心配がありません。
当日の服装やメイクで印象がよいのは?
オーディション当日は服装やメイクのマナーにも気を付ける必要があります。
まず、オーディションの服装について、審査員の印象に残りやすいものがよいと考える人もいますが、男性も女性も派手な服装はマナー違反と考えたほうがよいでしょう。ただ派手なだけの格好は主張が強すぎて、逆に場の空気を読めない悪印象を与えることもあります。
オーディションで適しているのは地味すぎず、清潔感を持った服装です。オーディションに合格すれば人前に出る仕事をすることになるという意識をきちんと持って、一般的に見て好感を持たれやすい服装で臨むようにしましょう。
また、服装のマナーは本人だけが気を付ければいいわけではありません。子役オーディションの付き添いをする親も、同じように派手すぎる服装やきつい香水は避ける気遣いが必要です。
一方、ヘアメイクについても男性・女性に関わらず清潔感が大切となります。個性的な自分を表現しようとカラーコンタクトやウィッグなどを使うと好印象を持たれません。派手さと個性はまったく別ものであることをきちんと把握し、勘違いした格好をしないように気を付けることが大切です。
また、女性の場合、すっぴんである必要はありませんが、濃いメイクは避けるようにしましょう。
これからの期待が持たれる人材を発掘するオーディションでは、まず伸びしろのある素材であるかがチェックされます。このため、できるだけ手を加えていない本来の姿がわかるようなナチュラルなメイクで受けることがポイントです。
挨拶は重要!親のマナーも審査基準?
社会人としての基本のマナーである挨拶がきちんとできると相手への印象もよくなります。
特に、オーディションでは挨拶が審査のポイントに含まれるケースも多いため気を付けなければいけません。まず、会場でのファーストコンタクトとなる受付では、目的と自分の氏名について「本日○○のオーディションに参加させていただく〇〇です」といったように明確に伝えることが大切です。
控え室で待機していて自分の順番が回ってきたら面接を受ける部屋へと入ることになりますが、その際にはすぐにドアを開けずに必ず事前に2〜3回ノックをします。
また、ノックした後も勝手にドアを開けてはいけません。「どうぞ」といわれてから入室し、「失礼します」と一礼して部屋に入ったら、ていねいにドアを閉めるようにしましょう。
さらに、退室時にも挨拶は必須です。「本日はありがとうございました」「失礼します」といった挨拶の言葉を伝えることを忘れないようにしましょう。
このような挨拶のマナーを守ることは、子役のオーディションに付きそう親についても同様です。
付き添っているとつい子どもの態度ばかり気になって自分のことがおろそかになってしまう親もいます。しかし、本人がしっかり挨拶できることは当然重要ですが、親がきちんとしたマナーを持っていることも大切とされるので気を付けなければいけません。
子どもの年齢によってはオーディションに合格して実際に仕事をするようになったとき、親が子どもに付き添って現場に出向くこともあります。このため、マナーがなっていない親は現場に影響を与えるとみなされマイナス評価を受けることもあるのです。
落とされやすいNGなマナーとは?
オーディションで落とされやすい態度の例を紹介します。
まず、質問を受けた際にハキハキとした回答ができないとマイナス評価です。友達と会話をする際に使用するような「う〜ん」「え〜と」などの返事は気が抜けた、だらしのない印象を与えるので避け、まずは第一声として「はい」「いいえ」と明確に答えるようにします。
次に、返事をするときの顔の向きもポイントです。答えの内容がどんなによくても、相手の目も見ずに下を向いて返事をすると態度が悪いとみなされることがあります。緊張から、ついうつむいてしまうこともありますが、オーディションに合格したいのであれば審査員の顔をきちんと見て笑顔で答えることが大切です。
さらに、手や髪などをいじりながら話す行動も会話に集中していないように思われて印象を悪くします。癖になってしまっている人は、無意識にやらないように普段から気を付けておくようにしましょう。
ほかにも、腕組みや足を組むことが癖になっている人もいます。習慣化しているささいなしぐさは、自分が気付かないうちにやってしまうことが多いものです。自分の癖をきちんと把握しておき、オーディションに向けて気になる癖は事前に直しておくようにしましょう。
オーディションの前後も気を抜かないこと
自分の順番になる前の待ち時間や、オーディションが終わりホッとしたときなどに、つい気が抜けてしまう人は少なくありません。
しかし、オーディションの時間中だけではなく、その前後も審査対象と考えてマナーに気を付けておくことは重要です。たとえば、廊下や別室で待っている間、誰かに電話したり、必要以上にスマホを触ったりするなど気を抜いた態度を取らないように注意しなければいけません。特に、電話での会話は場所によってほかの人への迷惑となるため気を付ける必要があります。電話をしなければいけない用事がある場合でも、完全にオーディションが終わってからするようにしましょう。
また、同じ夢を持った仲間と出会うと、お互いの情報交換をしておきたいと考える人もいますが、芸能事務所の噂話やオーディション関係者の評判などを口にしてはいけません。
会場での会話は関係者やスタッフにどこで聞かれているかわからないものです。関係者の耳に入ってしまうと、口が軽いと評価されて落とされたり、合格できた場合でも仕事がしにくくなってしまったり、仕事がもらえなくなってしまったりする可能性もあります。
このため、オーディションがすべて終了し、会場をあとにするまでは気を抜かないようにしておくことが大切です。
普段から業界に慣れておくことが大切
多くの人がチャレンジするオーディションでは、自分では気付きにくい小さな行動が合否を分けてしまうこともあります。
オーディションを受けるからには専門的な視点のもとで必要なレッスンを受けておくことも大切であり、レッスンの受講は真面目な想いで臨むうえでのマナーのひとつと考えることもできるのです。
いざ大切なオーディションとなったときに慌てないようにするためにも、スクールなどを通してレッスンを重ね、業界のマナーに慣れておくことも大切な対策となります。