かわいい赤ちゃん。
布団の上でモゴモゴ動く姿はとても癒されますが、歩けるようになる日も待ち遠しいですよね。
寝返りは、歩く前の最初のステップ。寝返りによって自らうつぶせの体勢ができるようになり、その後腹ばいを経て、ハイハイ、つかまり立ち、そして二足歩行・・・とすすんでいくのです。
では、寝返り時期の目安や、寝返りができるようになった後の注意点などをお伝えします。
赤ちゃんが成長するための最初のステージ、「寝返り」。寝返りについて詳しく知り、大事な赤ちゃんの成長を家族で見守っていきましょう。
赤ちゃんが寝返りできるようになるのはいつ?
生まれたころは、首も動かせなかった赤ちゃん。
寝返りは全身運動なので、寝返りをするためには首がすわっていることが大前提になります。首がすわるのはおよそ生後5か月前後なので、寝返りは生後半年を目安にすると良いでしょう。
ただ、赤ちゃんの成長は一律ではありません。
「うちの子は生後3か月で寝返りが成功したの」・・・なんて他のママの話を耳にしたとしても、決して焦らないでくださいね。
実際、発達に特に問題がない赤ちゃんでも、1歳前で初めて寝返りに成功した・・・ということも珍しくありません。
もし不安なら、母子健康センターやお近くの小児科などに相談しましょう。
寝返りで親が手伝えることはある?
赤ちゃんががんばって寝返りをしようとしているとき、親はもどかしい気持ちになることが多いのではないでしょうか。
「私が手を貸すのは簡単だけど、せっかく自力で寝返りをしようとしているから見守っているほうが良いのでは」と思うものの、「でももう何週間も寝返りが成功していないし・・・」「なんだか赤ちゃんが苦しそうな表情だし」と手を貸したくなるのは自然なことといえます。
いつも布団の上にいた赤ちゃんは、寝返りも全身運動もはじめて。「こう動いたらなにかが変わる気がするけどここから進まない!どうすればいいの?」なんて、赤ちゃん自身も自分の行動がよくわかっていないことも多いのです。
赤ちゃんの寝返りは、大きく分けて2段階あります。1段階目は「体をひねる」。そして2段階目が「腕を抜く」です。
半分ほど体をひねってバタバタしているようなら、腰や背中にそっと手を添えてあげましょう。バタバタしながらも、手のサポートのおかげで何かの拍子にうつぶせになれることでしょう。
うつぶせになれたら、腕を抜くことではじめて「寝返り成功」です。ほとんどの赤ちゃんは、寝返りに慣れていない段階では片腕を抜くことができません。うつぶせ状態になった自分の体に片腕がはさまれたまま、身動きが取れなくなってしまうのです。
多くの場合、うつぶせが慣れれば慣れるほど、自ら腕を抜くことを覚えます。両腕を床にピンと突っ張って体を大きく反らす姿はとてもかわいいですが、力がなかったりコツがわからなかったりすると、赤ちゃんが「なんだかわからないけど腕が痛い!」と苦しがることは少なくないのです。
腕を抜くためのサポートをするなら、そっと赤ちゃんの胴体を横にずらすことをおすすめします。体重が少しでも腕から離れれば、赤ちゃんは腕を抜くことを徐々に覚えていくことでしょう。
寝返りができるようになった後の注意点
善悪の判断はもちろん、何が危険で何が安全かの区別もできない赤ちゃん。
寝返りは成長の大きな一歩ではありますが、寝返りができるようになったということは、「ベッドに寝そべっているだけ」の赤ちゃんではなくなったということ。
視界や行動範囲が広がる分、赤ちゃんの身の周りは一気に危険だらけになります。
思わぬ事故を防止するため、寝返りができるようになった後の注意点も知っておきましょう。
うつぶせ寝で窒息の危険
体を自由に動かせるようになった赤ちゃんは、いつのまにかうつぶせになっていることが少なくありません。
赤ちゃんが起きている間はもちろん、熟睡している最中も寝返りを打つことがあるので要注意。
ふんわり包み込むようなやわらかい枕や布団だと、赤ちゃんがうつぶせになったときに窒息する恐れがあります。寝返りができるようになったからといって、手足を思い通りに動かせるようになったかというとそうではありません。「息が苦しい」と赤ちゃんが感じたとしても、自分で楽な姿勢を取れないことがほとんどなのです。寝具は少し固めのものを選び、就寝中の事故を防いでくださいね。
誤飲に注意
寝返りができるようになると、赤ちゃんの視野は一気に広がります。
タバコの吸い殻や、ティッシュペーパー、観葉植物の土など、赤ちゃんは興味を持ったものをすぐ口に入れてしまうのでご注意ください。
床はもちろん、棚にも誤飲の危険があるものは置かないようにしましょう。
転落に注意
寝返りができるようになった赤ちゃんが怖いのが、転落です。
ベビーベッドに寝かせているなら、転落しないようにゲージをきちんと設置しましょう。
また、「子どもとベッドで一緒に寝ている」というご家庭も要注意。床に直に敷くタイプの布団が一番安心ですが、もしベッドしかなければ、赤ちゃんは壁際に寝かせるなど工夫してください。
また、眠たくなるとどこでも寝てしまうのが赤ちゃんですが、ソファーなど段差があるところで眠りに入ってしまったら、安全な寝床まで抱っこで移動させてあげてくださいね。
寝返りができるようになっても就寝時は仰向けに
寝返りが自由にできるようになると、ごろごろと寝返りを続けている最中に、眠くなって寝てしまうこともあるでしょう。
このとき、赤ちゃんの姿勢がうつぶせなら、そっと仰向けに戻してあげてください。
なぜなら、うつぶせ寝が乳幼児突然死症候群(SIDS)の一因といわれているためです。SIDSの詳しい原因は解明されておらず、喫煙など他の原因で発症することもあるといわれていますが、その原因の一つにうつぶせ寝が挙げられているのです。
仰向けに戻しても、すぐうつぶせに戻ってしまう赤ちゃんは少なくないでしょう。
しかし、それでも親が寝付くまでは「気がついたときに戻す」を意識してください。口や手が少し動いているときは触ると起きてしまうかもしれないので、すやすやと寝入ったところを見計らい、そっと戻してあげましょう。
「万が一の事故防止に・・・」と寝返り防止クッションも市販されていますが、小児睡眠コンサルタントの森田真理子さんによると、使用はおすすめしないそうです。
なぜならアメリカでは、1997~2010年の間に寝返り防止クッションによる窒息で亡くなった乳児が12人にも及んでいるため。アメリカ食品医薬品局では、寝返り防止クッションの使用をやめるよう呼び掛けているほどといいます。
参照
元気な赤ちゃんが寝ている間に突然死… 「寝返り」や「うつぶせ」にはどうすればよい?
大事な赤ちゃんへのリスクを考えて行ったことが、反対に重篤な事故を招いては、元も子もありませんよね・・・。できるだけ赤ちゃんがぐっすり眠れるように、少し涼しいと思えるくらいの環境で、硬めの寝具を使用しましょう。
SIDSを発症した乳児のうち、82%は生後半年以内のお子さんといわれています。つまり、まだ寝返りが自分の意志で自由自在に行えないような月齢の子は、親が十分に注意してあげる必要があるのです。
寝返りについて正しい知識を持ち、赤ちゃんにとって快適な睡眠環境を整え、ご家族皆であたたかく成長を見守っていきましょう。
まとめ
寝返りができる目安の月齢や、寝返りができるようになった後の注意点などを詳しくご紹介しました。
寝返りは、赤ちゃんの成長の証。歩くようになるための最初のステップなので、必要なときにはそっと手を貸しながら、ゆったりと見守っていきましょう。