吹き替えとは?
声優の仕事は、アニメのアフレコ以外に「吹き替え」を担当する機会も多いです。
吹き替えとは?
・海外で制作された外国語の映画やドラマなどの作品を日本語で吹き替えること
海外の作品で「日本語吹き替え版」の作品を見ることも多いですよね。
アニメのアフレコも映像を見ながら声をあてるので、同じように感じるかもしれませんが、実は違いもたくさんあります。
声優の吹き替えについて、アフレコとの違いやコツを詳しく解説していきます。
アフレコと吹き替えの違い
アフレコと吹き替えは、どちらも声優の腕の見せ所となるジャンルですが、声優はそれぞれの違いをしっかり意識して演じています。
吹き替えを上手くするために、理解しておくべき「アフレコと吹き替えの違い」を見ていきましょう。
アフレコと吹き替えの違い①元の演技がある
アニメのアフレコは、新しい作品に1から声を入れて演じていくのに対して、吹き替えの場合はすでに、役者が演じているものに声を吹き替えます。
海外の役者が表情やしぐさも含めて演じている映像を見て、その様子に合わせた演技をしなければいけません。
アフレコと吹き替えの違い②アニメと実写の違い
アニメキャラクターの表情や動きには、ある程度誇張した演技や、オーバーリアクションが必要となります。
つまり、普段の会話では使わないような話し方で演じることも求められます。
しかし、吹き替えの場合、演じている役者が話しているように、観ている人が違和感を感じないように、ナチュラルに演じることが求められます。
アフレコと吹き替えの違い③収録方法の違い
アニメのアフレコの場合、無音の映像に声を入れる収録方法が主流ですが、吹き替えの場合、原音を聴きながら、その音に合わせて声を入れていきます。
また、アニメのアフレコの仕事は圧倒的に声優が多いのに対して、吹き替えの仕事は、声優以外に役者が担当することも多いです。
吹き替えのコツは?
映像を見ながら、自然に演じる吹き替えの仕事は、とても難しそうですよね。
アフレコとはまた違う「吹き替え」のコツは、一体どんなことなのでしょうか。
吹き替えのコツ①感情を深く理解する
担当する役を演じている役者が、どのような気持ちで、どんな感情で演じているのかを深く理解する必要があります。
「悲しい表現」「嬉しい表現」というように、単にその時の気持を表すのではなく「なぜ悲しいのか」「悲しい気持ちをどのように表現しているのか」など、演じている役者が表現していることを深く理解しなければいけません。
吹き替えが上手いと言われる声優は、映像から見て取れる役者の感情や意識をしっかり理解して演じています。
吹き替えのコツ②文化や国民性を理解する
吹き替えをする作品は、世界各国の役者が演じています。
当然、その演技には、各国の国民性や文化による表現もあるので、見ていても簡単に理解できない感情表現があることも珍しくありません。
言葉が分からない作品を見て、感情を感じ取るなど、作品をじっくり見てセリフの意図を考えるなど、文化、国民性の違いがあることも理解して演じることも重要なポイントです。
吹き替えのコツ③聴く力を鍛える
アニメのアフレコと違い、吹き替えの場合は元となる外国語のセリフがあります。
言葉は違うけれど、その原音を聞いて、役者の表現やセリフ回し、息遣いなど再現しなければいけないポイントを耳で聴いて演じることが求められます。
聴いた事を表現できるように、聴く力を鍛えておくのも、吹き替えが上手くなるコツです。
吹き替えが上手くなる練習
吹き替えの練習方法は、実際に洋画などの映像を見ながらセリフを言ってみる方法がおすすめです。
その時の注意点を知っておきましょう。
吹き替え練習①ブレス
吹き替えで意識しておきたいのがブレスのタイミングです。
映像の中で役者が息継ぎをしている時には、吹き替えも声を出さないように、息継ぎのタイミングを合わせる練習をしましょう。
声が止まるタイミングを、映像と合わせることで、自然な演技ができます。
吹き替え練習②滑舌・発声の練習
海外の作品は、演じている役者の感情表現やリアクションが大きいという特徴もあります。
発声や滑舌などの基礎的なトレーニングで、声に抑揚をつけられるように練習を重ねておきましょう。
吹き替え練習③演技力
吹き替えの演技は、アニメのアフレコとはまた、演じ方が違います。
アニメの演技ではなく、自分らしい演技ともまた違う、実際に海外の役者が演じている役を声で演じるという難しいジャンルです。
演技の幅を広げるためにも、演技力を磨く練習はしておいた方がいいでしょう。
【吹き替えの練習ができるスクールや養成所】
テアトルアカデミー
鈴木福さんや、小林星蘭さんなど、人気子役を多数輩出していることでも知られる「テアトルアカデミー」では、演技や歌、ダンスのレッスン以外に、声優レッスンにも力を入れており、吹き替えもできる声優に必要なレッスンをしっかり受けられます。
代々木アニメーション学院
活躍したいジャンルのニーズに合わせた実践カリキュラムが豊富です。
外画吹き替えの授業もあるので、専門的なスキルが実践を通じて学ぶことができます。
アバロン声優スクール
声優コース以外にも、演技コースなどもあり、吹き替えのレベルアップに役立つ、経験豊富な講師の指導が受けられます。
吹き替えが上手い声優
実際に「吹き替えが上手い」と評価されている声優を紹介します。
戸田恵子
女優としても知名度の高い戸田恵子さんは、アンパンマンの声を担当する声優としても知られています。
外国の作品では「X-ファイル」のスカリー捜査官役や「ターミネーター」のサラ・コナー役を担当、人気女優であるジュリア・ロバーツ、ニコール・キッドマンなどの吹き替えも担当しています。
山寺宏一
声優以外にも、タレント、ラジオDJとしても活躍している山寺宏一さん。
海外映画の吹き替えでは「マスク」でジム・キャリーの声を担当し「ファイト・クラブ」ではブラッド・ピットの声を担当しています。
山寺宏一さんは、吹き替えの仕事をする時に、観ている人が吹き替えであることを意識しないようなナチュラルさを大切にしているそうです。
松本梨香
アニメ「ポケットモンスター」のサトシ役でも知られる松本梨香さんは、吹き替えが得意な声優としても有名です。
外国の作品では「デンジャラス・ビューティー」のグレイシー・ハート役や「ブリジット・ジョーンズの日記」でのブリジット・ジョーンズ役などで吹き替えを担当しています。
声優と言えばアニメのイメージが強いですが、吹き替えというジャンルでも、声優の演技力の高さを証明していますね。