芸能人の給料形態
華やかな芸能界で活躍する芸能人と言えば、給料が高い職業というイメージですよね。
特に、大御所芸能人の年収やCMの契約料が発表されると、その金額に驚かされることもあります。
しかし、同じ芸能人でも、活躍するジャンルや所属する事務所によって、稼ぐ金額が大きく変わってきます。
その理由の一つに、芸能界の給料形態には「給料制」と「歩合制」があることも関係しています。
給料制
・仕事量に関わらず、毎月固定された金額が支給されます。
歩合制
・毎月、仕事をした分のギャラの取り分が給料として支給されます。
さらに事務所によっては、この2つを合わせた給料制+歩合制で契約し、最低限の金額に設定された固定給に、働いた分の給料が加算される方法を取り入れている場合もあります。
給料制・歩合制にはメリット、デメリットがあります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
給料制のメリット・デメリット
まずは、給料制のメリットとデメリットを見ていきましょう。
給料制のメリット
・仕事が少ない時にも決められた収入がある
給料制のデメリット
・仕事が増えても収入が変わらない
給料制では、仕事が少ない時でも一定の給料を支給されるので、駆け出しの新人タレントや、人気が低迷して仕事が減った時でも、安心です。
また、芸能界では収入が減ると、アルバイトをして生活費を稼ぐ人も少なくありませんが、給料制であれば一定の収入があるので、芸能活動に集中しやすくなります。
その反面、芸能界は突然人気が出て、ブレイクすることも珍しくない業界です。
仕事が無く、一ヶ月の半分は休みだったタレントが、急激にブレイクして休みなく働くようになっても給料制であれば、収入は変わりません。
もちろん、契約を見直す際に固定給の金額を上げたり、歩合制に変更することは可能な事務所も多いですが、ブレイクしたからといって、すぐに変えることは難しいでしょう。
給料制がメインの芸能事務所
ホリプロ
人気タレントが多数所属する大手芸能事務所「ホリプロ」は、所属タレントの給料は基本的に給料制になっています。
和田アキ子さんや綾瀬はるかさんなど、事務所への貢献度が高い所属タレントの一部は歩合制で契約していますが、若手のタレントであれば、人気があり仕事量が多くても給料制が基本です。
オスカープロモーション
6000人以上のモデルや女優が所属する「オスカープロモーション」では、基本的に給料制で契約しています。
事務所の大規模オーディション「全国民的美少女コンテスト」出身の所属タレントは、基本的に給料制と決まっていますが、その後の活躍によって、歩合制に変更しているタレントもいます。
給料制の契約が多いジャンル
・俳優・女優
・アイドル
・タレント
歩合制のメリット・デメリット
次に、歩合制のメリット・デメリットも見ていきましょう。
歩合制のメリット
・働いた分収入がアップする
歩合制のデメリット
・仕事がなければ収入も0
歩合制のメリットと言えば、何といっても仕事が増えれば、収入も増えるので、「高額収入」という夢があるという所でしょう。
CMなど単価の高い仕事が入った時など、収入も大幅にアップするので、自分の活躍が実感できる機会となり、モチベーションも上がります。
しかし、仕事がなければ給料は支給されないので、芸能活動をしながらアルバイトをしなければいけないこともあるでしょう。
歩合制がメインの芸能事務所
吉本興業
お笑い芸人をメインに、総勢6000人以上のタレントが所属する「吉本興業」の給料は歩合制です。
給料が少ないことで知られる事務所ですが、実際に他の事務所と比べて、タレントの取り分は少なくなっています。
しかし、自社の劇場もあり、若手でも実力をつける環境が整っているので、実力があれば、人気芸人となり、歩合制で高額な収入を目指せる事務所です。
太田プロダクション
元々は給料制だった大手芸能事務所「太田プロダクション」は、所属タレントの土田晃之さんが、社長に直談判したことで歩合制に変わりました。
お笑い芸人がたくさん所属していますが、指原莉乃さんなど人気タレントも多く所属しており、歩合制で高額な収入を得ている所属タレントが多いです。
歩合制の契約が多いジャンル
・お笑い芸人
・声優
・歌手
芸能事務所との契約は?
給料制と歩合制にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、そもそも給料について事務所との契約はどのように交わすのでしょうか。
給料制の契約
給料制の場合、固定となる金額を事務所との契約時に決めることになります。
ある芸能事務所では、年齢×1万円をベースにしていると言う話もありますが、ほとんどの事務所では基本的な金額は決められており、事務所から提示されるパターンが多いでしょう。
衣装代、交通費、宿泊費、レッスン費など、仕事にかかる経費は給料と別で支給されるのか、確認しなければいけません。
また、契約年数も確認しておくべきポイントです。
新人の時に長期で契約してしまうと、仕事が増えてからも長らく契約金額が変更できないこともあります。
歩合制の契約
歩合制の場合は、タレントと事務所の取り分を確認して契約します。
ギャラの取り分は、事務所によって様々です。
大手芸能事務所の配分
・ホリプロ (事務所 5 芸能人 5)
・研音 (事務所 6 芸能人 4)
・ワタナベエンターテイメント (事務所 5 芸能人 5)
・人力舎 (事務所 4 芸能人 6)
・吉本興業 (事務所 9 芸能人 1)
同じ事務所に所属していても、個々に配分率が違うこともありますが、契約時には割合をしっかり確認しておかなければいけません。
また、給料制と同じように、交通費や宿泊費などの必要経費は支給されるのかもポイントです。
特に若手芸人などに多い営業の仕事では、数千円のギャラで受けたものの、交通費や衣装代で赤字になることも少なくありません。
海外の芸能界は給料は?
日本の芸能界では、タレントが芸能事務所に所属して、事務所から契約に応じた給料が支払われるシステムが定番ですが、海外の芸能界ではどのような契約となっているのでしょうか。
アメリカ
世界最大級のエンターテイメントの街と言えば、アメリカのハリウッドですよね。
ハリウッドで活躍するタレント、俳優、ミュージシャンなどは、タレントエージェンシーと契約をします。
タレントエージェンシーは、仕事を探して報酬を含めた待遇を交渉して、契約した金額の10~20%を受け取っています。
タレントエージェンシーでは、仕事をするタレントを「所属タレント」ではなく「クライアント」として考え、あくまでも独立した存在として仕事をするのが特徴です。
韓国
世界的な人気を誇るようになった韓国のK-POPアイドルは、韓国の公正取引委員会で契約期間が最長7年と定められているため、多くの事務所では7年で契約しています。
新人の育成にお金をかけるK-POP業界ではデビュー後に「奴隷契約」と言われるような、低い給料で過酷なスケジュールをこなしていると報じられることもありましたが、現在は日本と同じように、事務所とタレントの取り分が「5:5」「6:4」と設定されるパターンが増えています。
また、契約満期を迎えて、再契約をする際には、タレントの取り分が多くなるように配分を見直す事務所もあります。
芸能界で活動するのに「給料制」と「歩合制」のどちらを選ぶのかは難しい判断ですが、納得のいく契約ができるように事務所を選びましょう。