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俳優になるのに身長は関係ある?

2019.07.23 / 俳優

俳優は背が高いという漠然としたイメージを持つ人も多いようです。そのため、俳優になる条件として身長の高さが不可欠ではないかと思われがちです。しかし実際は、俳優に求められるものはさまざまな条件のバランスといえます。この記事では、俳優になるために身長がどのような意味を持つのか、またどのくらいの身長が理想的なのかについて詳しく解説していきます。

俳優になるのに身長は関係ある?

俳優は、人前に立って観客の視線を受ける仕事ですが、似たような職業に「ファッションモデル」があります。たとえば、パリコレクションなどで、高級ブランドの服を着て、さっそうとランウェイを歩くのは、ファッションモデルの仕事です。この場合は、シーズンごとに発表される最新のデザインの服を印象的に着こなす役割が求められます。その点で、特殊なデザインの場合は別として、一般的なファッションショーで紹介される服は、ある程度の身長がないと観客へのインパクトが弱くなってしまいます。これが、ファッションモデルの条件に、身長制限がある理由の1つです。

一方で、俳優には身長制限はありません。俳優はランウェイではなく、劇場での舞台や、テレビや映画などの映像の中に活躍の場があります。ランウェイのように非常に近くで見る観客よりも、劇場で離れた座席から見る人や、テレビ画面や映画館のスクリーンで楽しむ観客のほうが多いのです。さらに、テレビや映画の場合は俳優の動きを直接見ることはできません。監督や脚本家による演出によって俳優のイメージが左右されます。このような環境では、身長より個性的な表情や存在感のほうが重視されるのです。また、相手役などの共演者間でのバランスによって、ある配役の身長が決まることもあります。たとえば、ある配役の役柄によっては、身長が高すぎないほうがよいこともあるのです。

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役がもらいやすいのは180cm前後

俳優には身長は関係がないとはいっても、役をもらいやすい高さはあるようです。一般的には、高すぎず低すぎず役をもらいやすいのは180cm前後といわれています。その理由としては、180cm程度あれば立ち姿も様になるからです。また、数千人が入る劇場での舞台上でも、この程度の身長があれば、遠方からの客席から見ても存在感が伝わります。

実際に人気俳優には180cm前後の人が多いといわれています。1cm刻みで見てみましょう。たとえば、アーティストであり映画にも出演するGACKTは180cmです。映画やドラマで活躍する水嶋ヒロや綾野剛や伊勢谷友介なども180cmとなっています。また、渡辺徹、保阪尚希、渡部篤郎など1960年代生まれのベテラン俳優も180cmです。181cmになると、福山雅治、反町隆史、松田翔太、桐谷健太などがいます。ベテラン勢では、舘ひろしも181cmです。

向井理、玉山鉄二、小林賢太郎、佐藤浩市、吉田栄作などは182cmとなっています。内田朝陽、谷原章介、福士蒼汰、松坂桃李などは183cmです。日本の映画俳優として伝説的な人気を誇る石原裕次郎や、松田優作も183cmです。ちなみに、松田優作の息子である松田龍平も同じ183cmとなっています。

日本人の平均身長に近いのは170cm前後

日本人全体で見ると、男性の平均身長は約170cmといわれています。そのため、俳優が170cm前後であることは、高すぎず低すぎずの印象を与えます。特定の役柄に要求される特殊な条件を除けば、身長が問題になることはないでしょう。また、映画でもTVドラマでも、男性の俳優だけではなく女優との共演が一般的です。そうなると共演者どうしの関係が役柄に適した身長に影響してきます。キャスティング段階で、監督や演出家側がどうしても使いたい女優がいる場合には、その女優の身長がすべての基準になる可能性があります。もし、主演女優が150cm台であれば、共演者としての俳優はあまり身長が高すぎるより170cmくらいのほうがバランスとしては良いのです。

ちなみに、身長150cm台の女優には安達祐実(153cm)、土屋太鳳(155cm)、永作博美(156cm)、石原さとみ、二階堂ふみ(157cm)など、主役級の女優名を挙げることができます。その他のメリットとしては、170cm前後であれば、実年齢より若い役ももらえる可能性も高くなるようです。身長が高すぎると、学生服などを着ても違和感が出ることがあるのですが、平均身長であれば問題がないためです。たしかに、高身長の中学生や高校生も実際にはいるのですが、俳優としては観客には演技に集中してもらう必要があります。最初に身長で違和感を覚えさせることは、演出側からも敬遠されてしまうのです。

また、170cm前後であれば20歳を超えていても学生役でも違和感がないといえるでしょう。たとえば、アニメから実写版が映画化された2016年公開の『暗殺教室』では、主演潮田渚役の山田涼介の身長は164cmなのですが、22歳で中学生を演じています。また、赤羽業役の菅田将暉は身長176cmですが、22歳で同じ中学校の同級生役を演じているのです。

極端な高身長や低身長は役が限られる場合も

170cmから180cm台の身長であれば、演出側としてもさまざまな役作りができるため、俳優側としても役をもらえる可能性が広がります。一方で、極端に身長が高い場合や低い場合には、役柄が制限されることも考えられるでしょう。たとえば、190cm前後の高身長は海外の俳優では珍しくないのですが、日本人俳優ではそれほど一般的ではありません。阿部寛、東出昌大などは身長189cmの高身長ですが、もともとファッションモデルからそのキャリアを始めている点に共通した特徴があります。190cm前後の場合は、役柄に制限があるといっても、強面の役が似合ったり、高身長が映えたりする舞台での活躍が期待できるでしょう。

ヤマザキマリによる原作コミックの実写映画化で大ヒットし、続編も作られた『テルマエ・ロマエ』では、阿部寛は古代ローマの技師役を演じています。高身長と日本人離れした彫りの深い顔は、絶妙のキャスティングといわれているのです。150cm台になると、156cmの岡村隆史などがよく知られています。バラエティ番組の司会などで人気があり、テレビドラマや映画などにも数多く出演する俳優です。ただし、個性的な存在感が最大の魅力といっても良い俳優であって、身長以外の魅力によって人気を獲得しているともいえるでしょう。

つまり、通常のキャスティング枠とは違うところで選ばれているわけです。低い身長の場合はコミカルな役や個性的な役柄が与えられることも多いといえます。身長が高かったり、低かったりしても、俳優としてめったにいない身長の場合は、それが個性の1つになることがあります。競争率が低くなるので、その人にしか演じられない役に抜てきされるというメリットと考えることもできるのです。

身長が高かったり、低かったりしても俳優としてめったにいない身長の場合は、それが個性の1つになることがあります。競争率が低くなるので、その人にしか演じられない役に抜てきされるというメリットと考えることもできるのです。

大事なのは身長よりも存在感

役者にとって最も大事なことは演技力です。もちろん、身長が高ければ、衣装や演出によっては見栄えがよくなる場合もあるでしょう。しかし、見栄えだけでは与えられた役柄に期待される存在感を感じさせることは難しいのです。演技力には滑舌の良さや身のこなし、また眼力などが不可欠です。さらにいえば、目に見えないカリスマ性なども大きく影響します。もらった役にどれだけ没頭して、その役になりきれているのかが重要なのであって、演技力において身長の優先順位はそれほど高いものではありません。

現在でも世界に根強いファンを持つ黒澤明監督の映画作品には、個性的な俳優が多く出演しています。その中でも、最もよく知られている1人が三船敏郎です。合計16本の黒澤映画に主演し「世界のミフネ」と呼ばれた日本映画のカリスマといえます。身長は174cmなので、当時としては低いほうではありません。ただし、その演技における圧倒的な存在感の前には、身長の高低は全く問題になっていなかったのです。この例から学べることは、より多く役をもらうためには、演技力を磨いて存在感を出すことが最も重要なポイントだということです。

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