俳優や女優になるには、オーディションに合格することが前提となります。世間に認知されるまでは、自分からオーディションを受け、仕事を獲得していく必要があるのです。オーディションでは、演技審査が行われます。台本を演じたり、即興で演技をしたりといった審査が一般的です。演技審査に合格するためには、いくつかのポイントがあります。
この記事では、オーディションにおいてどのような演技力が求められるのかを解説します。
オーディションに通過しやすい人とは?
俳優や女優のオーディションは、「自己PR」や「書類審査」「面接」「実技審査」などで構成されています。プロフィール写真の撮影や面接の受け答え、個性のアピールなどがいかに優れているのかという点が、オーディションを通過しやすいポイントとして挙げられます。
しかし、特に大切なのが、抜群の演技力です。
実技審査では、簡単な脚本がその場で配布され、それに沿ってその場で演じるものや、出されたお題に対し、アドリブで演技するものがあります。簡単な脚本に沿ってその場で演じるのは、映画やドラマ、CMのオーディションでよく見られる実技審査です。台本により、相手役がいる場合といない場合があります。お題に対してアドリブで演技する場合は、伝えられた台詞を言うものから、設定や配役まで自分たちで考えるものまでさまざまです。
中には、台詞を言わず体で表現するというものもあります。面接やプロフィール写真などに比べると、他の人と差をつけやすいジャンルといえるでしょう。そのため、演技力が求められるのです。演技経験がない人でも抜擢されるケースもありますが、かなり稀と考えるべきです。
また、コミュニケーション能力やチームワーク力も求められます。
俳優や女優は、あらゆる人と関わって行う仕事です。マネージャーなど、芸能事務所の関係者と連絡をとったり、プロデューサーや現場監督などと意見交換をしたりする必要があります。また、演技も他の俳優や女優と一緒に作り上げていきます。そのため、養成所やスクールで演技力を身につけるだけでなく、他の人と一緒に演技をすることにも慣れておく必要があるのです。
ドラマと映画と舞台で異なる条件
オーディションといっても、ドラマと映画、舞台では求められる演技力や条件が異なります。
ドラマや映画の場合、カメラを意識しながら演技することがポイントです。
どの位置に立てばカメラ写りがよいのか、練習しておくとよいでしょう。ただし、あまりにカメラを意識した演技は逆効果となります。カメラを意識しすぎるあまり、演技中、不自然にカメラを見てしまうと、せっかくの演技も台無しです。反対に、視線のやり場に困り視線が揺れると、演技も不安定になってしまいます。
自分の演技を撮影してみると、イメージした演技と違いがあることに気付くはずです。撮影した映像をもとに、自分の演技を分析してみましょう。普段からカメラに慣れておくことで、リラックスして演技審査にのぞめます。
一方、舞台は目の前にいるお客さんに向けて演技するため、声の伸びや活舌のよさなどが求められます。
そのため、オーディションまでに発声方法を身につけておくとよいでしょう。さらに、立ち方や歩き方、美しい所作なども必要です。舞台はミュージカル調のものなども多いため、リズム感や柔軟性をチェックされることも少なくありません。場合によっては、簡単なダンスを披露することもあります。体の使い方やリズムのとり方などを、学んだり練習したりしておくとよいでしょう。
作品の内容と役柄を理解しておく
オーディションでは、台詞をただ覚えて喋るだけではいけません。
オーディションを受ける作品をしっかり理解し、役柄の人物像を探ったうえで、どのような演技をすべきなのか考えてのぞむことが大切です。監督やプロデューサーなどが登場人物に対してもっているイメージに、どのくらい近づいた演技ができているのか、役柄に合った演技なのかという点を見られています。
そのため、役に応じた髪型や服装で行くのもよいでしょう。ただし、相手役をはじめ、出演者全体の中でバランスがとれるかどうかという視点でも、審査されているため、主張しすぎると逆効果です。実在の人物を演じる場合は、その人物の話し方や仕草などについても調べておきましょう。
その場で台詞を渡されて演技する場合は、その台詞のイメージに合わせた人物の役作りをしましょう。
また、演技の修正を求められた場合、瞬時に方向性を修正できる適応力や柔軟性も必要です。ドラマや映画など実際の現場では、タイトなスケジュールの中で撮影が進められています。
そのため、求められることをすぐに理解したり、進行状況に気を配ったりといった力も必要なのです。この力をアピールすることで、合格に近づくことができます。
個性を出すことで周囲に差をつける
一般公募のエキストラとは異なり、台詞のある役柄のオーディションの場合、存在感があることも大切です。
そのため、個性を出してライバルと差をつけるよう意識しましょう。無難な演技が求められることもありますが、個性が強いと人気が出やすい傾向です。
例えば、アドリブで演技をする審査であれば、その場にあるものを小物として利用するなど、自分にしかできないことでアピールしましょう。
また、面接で個性をアピールすることもできます。ものまねでの自己紹介や、得意な歌の披露など、特技でアピールします。
ただし、特技をあれもこれも詰め込むのは避けたほうが無難です。限られた時間で、1つの特技をしっかりアピールしましょう。
ありふれた特技や趣味しかない場合は、審査員の印象に残るような伝え方を意識します。
例えば、読書が趣味であれば、「1年間に500冊読んだ」「部屋に3000冊の本がある」など、人と違うポイントを具体的に説明しましょう。
顔や見た目の印象は関係するのか?
俳優や女優のオーディションは、モデルとは異なり、必ずしも顔や体型が整った人が合格するとは限りません。
歯並びや肌荒れが気になるという人もいるかもしれませんが、合格後に直すことも可能です。化粧や服装、ヘアスタイルなどでカバーすることもできます。
反対に、いくら顔が整っていても人気の出ない俳優や女優も少なくありません。演じる役柄はさまざまなので、ルックスも色々な人が求められ、演技力を重視して選ぶ傾向なのです。
また、オーディションに受かるには人柄がよいことも大切です。
例えば、遅刻をしてしまうと、誠実さややる気がないと捉えられてしまいます。さらに、挨拶が積極的にできたり、誰にでも丁寧に対応したりと、誠実な対応ができ、礼儀正しくマナーのよい人が求められます。待ち時間も審査されていると考え、態度に気を付けておくとよいでしょう。
面接では、自信をもち、はきはきと大きな声で対応することも大切です。演技が好きという気持ちを前面に出し、よい印象が与えられるよう意識しましょう。
役柄で演技を分けられるようになろう
オーディションに合格するためには、どのような演技が求められているのかを理解しておくことが大切です。
たとえ落ちてしまっても、落ち込む必要はありません。
落ちた原因を克服し、次のオーディションにのぞめばよいのです。演技力が合否を決める1つの要素であるのは事実ですが、その作品や役柄に合っているかどうかも見られています。
そのため、受ける作品が違えば、受かる可能性もあるのです。ブレずに目標をもち、プロのレッスンを受けるなどして、演技力や発声方法などを身につけましょう。そして、役柄によって演技を使い分けられるようになりましょう。