シュタイナー教育とは?
世界の60ヶ国以上で取り入れられている「シュタイナー教育」を知っていますか?
子供一人ひとりの個性を尊重し、身体、心、頭をバランスよく育てる教育法で、日本の教育でも、注目され、取り入れられるようになってきました。
シュタイナー教育を提唱したのは哲学者、ルドルフ・シュタイナーで、彼が家庭教師を担当した水頭症の少年に対して行った教育や経験等を活かした教育法が、シュタイナー教育の始まりです。
100年以上の歴史があり、ドイツを中心に実践されているシュタイナー教育について、詳しく解説していきます。
シュタイナー教育の特徴は?
シュタイナー教育の特徴は、子供の発達段階を3段階に分けて教育をします。
発達段階に合わせた教育
シュタイナー教育の3段階は、7年周期で分けられています。
0~7歳(身体を発達させる時期)
健康的な身体を作ることを中心に、色々な遊びを考え、興味を持つことで、意思を育てていきます。
体を動かす遊びをしながら、自由に考えることで独創性も身に付けます。
日本の幼児教育に多い知育的なことよりも、音楽に合わせて体を動かすなど、身体の発達をメインとします。
8~14歳(心を発達させる時期)
芸術に触れる体験で表現や感情など、心の成長を発達させる時期です。
実際に芸術に関わる中で、表現力、創造力を膨らませる力を身に付けます。
さらに、先生や生徒同士でのコミュニケーションを密にすることで、感受性を豊かにしていきます。
15~21歳(思考を発達させる時期)
この時期の終わり頃には成人期を迎えるので、社会とのかかわりの中で自分で判断して行動する、思考の部分を発達させます。
論理的に考え、自立心を育むことを身につけていきます。
◎シュタイナー教育の授業
シュタイナー教育の授業では「オイリュトミー」と「フォルメン」という教育を行います。
オイリュトミー
音楽に合わせて体を動かしながら表現します。
また、クラスメイトと輪になって踊るなど、仲間との調和も重視します。
フォルメン
直線や曲線などを描いて、芸術的なセンスや感性を発達させます。
また、非化学模様など規則性のある模様を描くことでバランス感覚を養い、集中力にも働きかけます。
日本の教育と比較すると?
日本の教育の特徴と、シュタイナー教育では、違いがたくさんありますが、その中でも特に大きな違いについて見ていきましょう。
【日本の教育とシュタイナー教育の違い】
異年齢の子供と一緒に活動する
シュタイナー教育では、小学校に上がる前の幼稚園、保育園の年代では年齢で学年を分けません。
異年齢の子どもたちが一緒に教育を受けます。
また、シュタイナー教育では、小・中学校は一貫教育で、同じクラスメイト、同じ担任のもと学びます。
エポック授業を取り入れている
エポック授業とは、国語、算数、理科、社会などの教科を1時間目に110分間、2~4週間と期間を決めて、集中して学ぶ授業です。
日本の公立学校の授業では、小学校では45分間、中学校では50分間の授業が基本なので、これも大きな違いです。
また、授業で学んだことは、テストではなくレポートの提出等で評価されます。
シュタイナー教育のメリットは?
シュタイナー教育の特徴を解説してきましたが、実際にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
シュタイナー教育を受けるメリット・デメリットも知っておきたいですね。
シュタイナー教育のメリット
①個性を伸ばせる
シュタイナー教育では、自分で考えて行動することを学び、個性を尊重する教育です。
皆が同じことをする教育法ではないため、個性豊かな子供の才能を伸ばすことができます。
➁自己肯定感を高める
シュタイナー教育では、エポック授業を取り入れているため、国語や算数のような教科で、テストで優劣をつける事はありません。
また、個性が尊重される環境から、子供の自己肯定感が高まりやすくなります。
自己肯定感が高まれば、判断力や決断力も高くなり、自立心も芽生えやすくなります。
③感性豊かに育つ
音楽も含めた芸術に触れる機会が多いので、創造力が育つのもメリットと考えられます。
先生や生徒同士のコミュニケーションも大切にしているので、感受性も豊かになります。
シュタイナー教育のデメリット
①シュタイナー教育の制限もある
シュタイナー教育では、生活上でのルールがあります。
例えば…
・低学年の時には特定のスポーツをしない
・テレビなどのメディアから離れる
など、子供のためではあるものの、生活の中で制限されることがあり、子供にとっては苦痛に感じるケースもあります。
また、学校によってもルールの違いはありますが「プラスティックのおもちゃで遊ばせない」「食べ物の原材料にもこだわる」など、家族の協力が必要なルールも多いです。
➁認定校でしか卒業資格を得られない
シュタイナー教育の認定校でなければ、義務教育修了資格を得られません。
そのため、シュタイナー教育の認定校を探す必要があり、遠方であれば通学にかかる時間や費用に対する負担もあります。
③転校で困ることもある
シュタイナー教育を受けられる学校に通っていて、何らかの理由で通常の日本の教育を受ける学校に転校した時に、授業について行けない、システムの違いに困るということもあります。
シュタイナー教育を受けた有名人
「シュタイナー教育を受けて育った人は、どんな大人になっているの?」と気になりますよね。
実は、有名人の中にも、シュタイナー教育を受けていた人もいます。
シュタイナー教育を受けた有名人
斎藤工
父親の影響でたくさんの映画を見て育ったという斎藤工さんは、東京シュタイナーシューレ(現在はシュタイナー学園)に通っていました。
しかし、サッカーの強い中学に進学するために、小学6年生の時に公立高校に転校しています。
その後、高校時代はモデルや俳優としての活動をはじめ、現在は俳優の他、映画監督としても活躍しています。
村上虹郎
父は俳優の村上淳、母は歌手のUAである、村上虹郎さんもシュタイナー学園の初等部、中等部に通っていました。
また、高校生の時にはカナダのモントリオールに留学していた経験もあります。
8年間同じ先生とクラスメイトで、皆が兄弟の様に過ごした体験は、村上虹郎さんにとってかけがえのない時間だったそうです。
坂東龍汰
若手俳優として注目されている坂東龍汰さんは、ニューヨークで生まれ、3歳の時に北海道に移住して、18歳までシュタイナー教育を受けています。
学校のカリキュラムで演劇を行っていたのをきっかけに、俳優を志すようになったそうです。
さらに、写真や絵が趣味で、仕事に活かしたいと思い、村上虹郎さんに相談して、現在の事務所に所属が決まりました。
日本でシュタイナー教育を受けられる?
日本では、北海道から九州まで、全国各地にシュタイナー教育が受けられる学校があります。
しかし、まだその数は少なく、通える範囲に学校が無いという人も多いでしょう。
シュタイナー教育を受けられる学校に通うのが難しくても、音楽や芸術に触れて、子供の感性を磨くために、習い事などで、楽器、演劇、ダンス、絵画などを始めてみるのもおすすめです。
子供の教育には、様々な考え方があります。
これからの未来を生きる子供のために、シュタイナー教育も含め、より良い教育について考えておきたいですね。