どんな仕組みになっているの?声優がもらえる給料とは
多くの声優は事務所やプロダクションに所属しています。しかし、事務所などに所属することは、会社に正社員として就職することとは異なります。声優は、会社員として事務所に雇われているのではなく、個人事業主として契約を結んでいるのです。
そのため、声優は毎月決まった給料をもらえるわけではありません。基本的に歩合制となり、仕事が全くなかった月の給料は0円です。デビューしたばかりの新人は特に収入が不安定になりやすいでしょう。
また、声優は会社員とは違い、自営業と同じ立場になるため、雇用保険や厚生年金などはなく、社会保険などの手続きも自分で行うことになります。もちろん、会社から有給やボーナスが出ることもありません。安定した収入を得るためには実力をつけ、たくさんの仕事をこなす必要があります。
声優業で得られるギャラは1つの案件ごとに設定されていることが一般的です。しかしながら、事務所に所属している場合はその全額が手元に入るというわけではないのです。事務所は声優本人に代わって仕事の調整や営業などを行っており、仕事を得たときには事務所に手数料を払う必要があります。
そのため、ギャラから事務所への手数料と源泉徴収分を差し引いた金額が実際の給料となります。手数料はギャラの2~3割、源泉徴収は1割ほどで、声優が手にすることができる金額はギャラの6割程度です。
相場を知ろう!声優の仕事とその給料
声優の仕事といえば、アニメの吹き替えを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。魅力的なキャラクターたちに声をあてることに憧れを抱き、声優を目指し始めたという人もいるでしょう。
しかしながら、声優の仕事はアニメの吹き替えだけに限りません。例えば、洋画や海外ドラマの吹き替え、ゲームキャラクターの吹き替えも行います。吹き替え以外にも、テレビ番組やCMのナレーションなどの仕事もあります。そして、声優がもらえる給料は上記に挙げた仕事の種類によって違うのです。
声優の仕事として代表的なアニメの吹き替えの場合、30分の作品1本1万5000円が給料の最低ラインです。アニメ作品の給料は声優のランクによって異なり、人気声優になれば30分のアニメ作品1本で4万5000円程度まで上がります。ランク制については次の段落で詳しく説明します。また、洋画や海外ドラマの吹き替えの場合、1時間の作品で5万円程度が平均です。声優にとっては大きな収入源です。
さらに大きな収入源となるのが、テレビ番組やCMのナレーションです。アニメ作品のように給料がランクに影響されないので、高収入が見込めます。ジャンルによって相場は異なりますが、テレビ番組であれば1本10万円程度もらえます。一方、単価が細かく決められているのがゲームのキャラクターの吹き替えです。こちらもランク制とは無関係で、セリフ1文字単位の計算となります。新人の場合は、1ワード当たり30円程度が相場です。
声優の給料を決める大きな要素が「ランク制」
先に少しだけ触れたように、声優の給料にはランク制というものがあります。
声優の経験年数がランクを決定する基本要素となっており、それ以外に技術や人気によってもランクが上がることがあります。このランクによって給料の単価が決められており、アニメの吹き替えの場合はそれに応じてギャラが支払われることになります。
声優の養成所を卒業してから3年目までは最も低いジュニアランクで、30分のアニメであれば1本1万5000円です。ちなみに、この値段は作品内のセリフの量に関係なく、一貫してこの金額です。その後、声優としての実績を重ねることでランクは上がっていき、それに合わせてギャラの単価も上がっていきます。最高ランクはいわゆるベテラン声優で、30分のアニメ1作品で4万5000円のギャラです。
しかし、実はこのランク制には、最高ランクの上もあります。人気アニメの主人公を演じているような人気声優は「ノーランク」と呼ばれ、自分たちでギャラの交渉を行うことができます。しかしながら、「ノーランク」とされる声優はごくわずかでしょう。
また、一般的には声優としての経験年数に応じてランクが上がっていくので、3年間声優を続ければ最初のランクアップを経験するはずですが、そのときまでに代表作がなかったり、能力が見合っていなかったりする場合は仕事がなくなってしまい、逆に給料が下がってしまうことがあります。
意外と厳しい!声優の給料の現状
声優のギャラは基本的にランクに応じて決められており、事務所に所属している場合は手数料も引かれるので、給料事情はかなり厳しくなっています。レギュラー番組を持っていても平均給料は月16万円ほどで、平均年収は190万円程度です。年収が1000万円を超える人気声優も確かにいますが、それはわずか一握りに過ぎません。
経験だけでなく実力と人気が必要なので、すべての人がこれだけの金額を稼げるわけではないということを念頭に置いておきましょう。
仕事の量がギャラに直結する職業なので、人気声優でもレギュラー番組などがなければ稼げない時期を経験することになります。新人時代は仕事の量が少なくギャラも低いため、アルバイトを掛け持ちしないと生活するための十分な稼ぎを得ることは難しいでしょう。それは現役の声優であっても同じことで、声優の仕事だけでは生計を立てられない人が多く、アルバイトをして収入を補っている人がたくさんいます。安定した収入を得られるようになるまで時間がかかるので、そうなる前に声優をやめてしまう人も実際には多いのです。
売れっ子になりたい!声優で安定した給料をもらうには
声優として安定した給料をもらうためには、新人のうちにジャンルを絞らず、さまざまな仕事に挑戦することが大切です。アニメの吹き替えの仕事ばかりを狙っていても、新人のうちはランクが低く、十分な給料を得ることができません。
そのため、ランクに関係なく比較的高収入なテレビ番組やCMのナレーションの仕事を目指すと良いでしょう。これらの仕事はアニメの吹き替えの仕事に比べて拘束時間も短いので、1日にたくさんの仕事ができるというメリットもあります。さまざまな仕事を体験することで、活躍できる場所や得意分野が広がっていき、将来の仕事につながっていきます。
また、声優を3年間経験してランクが上がる前に、レギュラーを確保しておくことも大切です。ランクが上がるとギャラの単価も上がるので、一見すると良いことのように思われます。しかしながら、実力が伴っていなければ単価が上がったことで制作側から避けられるようになり、仕事の依頼が来なくなる場合があるのです。ジュニアランクのうちにレギュラー番組や有名なアニメ役などを経験し、ランクが上がってからも通用するよう声優としての実力や知名度を上げておかなければなりません。
さらに、声優業界では人間関係も重要視されています。人間関係が広がればそこから仕事の声がかかる可能性があるので、普段からコミュニケーションスキルも磨くよう意識しましょう。