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日本舞踊が培う“本物の芸”とは。その魅力に迫る。

2019.08.02 / 未分類

日本に古くから伝わる「日本舞踊」。興味があるけれど、それを学ぶことでどんなメリットがあるのか、どういうことができるようになるのか、気になる人もいますよね。堅苦しいイメージを持つ人もいて、習うのにちょっと戸惑う…という人もいるのでは?

しかし日本舞踊は、日本人ならではの美しさや魅力を学び、様々な芸を培うことのできる舞踊なのです。

そこで今回は、「日本舞踊」がどのようなものなのか、日本舞踊を学ぶメリット、学ぶ内容まで一通りご紹介していきます!

日本舞踊って一体何?

「日本舞踊」と聞くと、「なんだか難しそう」「古風」「年配者がやるもの」と、とっつきにくさを感じる人もいるかもしれません。

日本舞踊とは、能や歌舞伎、狂言、文楽と並ぶ伝統芸能の一つで、長い歴史の中で様々な要素を取り込みながら、発展してきました。特に歌舞伎の中の踊りの部分を発展させてきたものと言われています。

とはいえ、単に日本舞踊は前に挙げた他の芸能から派生しただけではなく、その理由としては、もともと日本に昔から生活していた人々が美しいと感じた体の動きやしぐさを舞台上で表現するべく作り上げられてきた結晶であるとも言われているのです。

「舞踊」という言葉自体が、「舞い」「踊る」様子を表した言葉なのですが、「舞い」は、音楽や歌に合わせてすり足で演じるもののことで、足を滑らせ静かな動きで表現するその動きは、みやびで上品な趣を感じさせます。一方で「踊り」は、音楽や歌に合わせて足を踏み鳴らしたり、リズムに乗った身振り手振りで演じる動きとなっています。

この二つが一つになって作り上げられたものが「日本舞踊」なのです。

これを聞いて、さらに難しく感じる人もいるかもしれませんが、これからお伝えする日本舞踊を学ぶメリットを見れば、その魅力を知ることができるはずです。

日本舞踊を学ぶメリット

では、私たちが日本舞踊を学ぶにおいてメリットとなることは一体何なのでしょうか。ここでは4つのポイントをご紹介していきたいと思います。

表現力の向上

先述したように日本舞踊は歌舞伎の中の踊りの部分にルーツがあるために、とても演劇性の強い踊りです。踊りを通して特定の世界観を表し、状況設定を背景にした人物や、その人物の性格を演じるという演目がたくさんあります。踊りという形で、様々な役柄を演じるのですね。

また、一つの演目の中で、一人の演者が特定の役ではなくいろいろな役を演じ分けるのも大きな特徴です。その演目の中では、女になったり男になったり、船乗りになったり、商売人になることもあるのです。

ですから、お芝居であれば物語が進む中で徐々に観客を、役柄に対して感情移入させていくのですが、日本舞踊は踊りが始まったら、素早く踊りの世界に引きずり込まなければならないのです。様々な役柄を一つの演目で演じ分けなければならないために、役者本人を出すのではなく、演じる役柄を前面に出していく訓練をしていきます。

ですから、日本舞踊はただの踊りではなく、観ている人にその役柄を表現していく、そのような技術を磨いていくことができるのです。

心身の美しさが磨かれる

日本舞踊は「心」を大事にする伝統芸能であるため、まず初めに覚えるのは「礼儀作法」です。特に、最初にならうのが「お辞儀」です。

というのも、演じる役になり切って表現することが重要な日本舞踊。そのためには役の人物の気持ちを推し量り、自分のことのように感じることができる感性が必要です。そのためには日ごろから、目の前の相手を敬う気持ちを持ち、礼を尽くさなければならないということで、その気持ちを表すものが「お辞儀」だというのです。

また日本古来の文化は「姿勢」を強く意識しているものが多く、特に日本舞踊においては、立ち姿勢の美しさにこだわるため、その立ち振る舞いが自然と美しくなります。

一見ゆったりとした日本舞踊ですが、その立ち姿をきれいにするために、お尻を引き締め、肩甲骨を動かして腕を動かかすといった、体の内側の筋肉を使う動きが非常に多いのです。猫背や姿勢の悪化というものはインナーマッスルの衰えからきているため、日本舞踊を通して鍛えながら美しい立ち振る舞いも学べるといったメリットがあります。

こういった礼儀作法や立ち振る舞いを稽古の中で学びながら心身ともの美しさを磨くことができることも日本舞踊を学ぶメリットだということができるでしょう。

色気が出る

「日本舞踊はしぐさの宝庫」とも言う人がいるくらい、日本舞踊で学ぶことができる「しぐさ」というものは多岐にわたります。

日本舞踊は、能狂言、文楽、歌舞伎、茶華道などすべてを飲み込み消化しているといっても過言ではありません。そこでは様々な日本の伝統舞踊で表現されてきた「しぐさ」を学ぶことができるのです。
たとえば、若い娘の恥じらいから、恋を知ったばかりの少女、遊女の誘惑なども多く表現されてきていますので、そういった仕草を自然と取り込むことを通して、色気も身に着けていくことができるでしょう。

また、立ち振る舞いを重要視する日本舞踊では、斜め45度の立ち振る舞いも学ぶことができます。この「斜め45度」というものは女性においては色気を一番出すことができる立ち振る舞いだといいますし、また「流し目」なども、日本舞踊においては重要な演技の一つ。

日本舞踊の面白さは、男性が女性を演じ、女性が男性を演じることがあるということですが、こういった「しぐさ」を男女別なく学ぶことができるのが、大きな魅力ですね。

着物が着られるようになり、日本の美しさを世界に表現できる

最近の日本ではそもそも、着物を着る機会がありません。そうなると着物を着たときに立ったり座ったりの動作が美しくならず、それだけで印象があまりよくありません。和装の時も、美しくきれいに過ごしたいですよね。

そんな時に日本舞踊を学んでおけば、まず着物を着ることができるようになるためそれだけでも大きなアドバンテージになります。また、基礎を学ぶだけでも、立ち居振る舞い、身のこなし、歩き方、所作等が身につくために表現の幅を広げることができますよ。

また、最近では世界中から日本の文化に関心が寄せられており、海外の人たちからも日本舞踊に興味を持つ人が増えてきたといいます。そういった人たちに対して日本の文化や美しさを発信することができるようになるのも日本舞踊の魅力のひとつだといえます。

日本舞踊の稽古はどんな内容?

日本舞踊の稽古は、初歩的なことから高度な演目まで、回を重ねるごとに段々と難易度が高くなります。それぞれのレベルの稽古をクリアして次の段階に進むことは、そのまま本人がステップアップしていることを示しています。

ここでは、さらっとご紹介しますね。
礼儀作法を覚える
所作を覚える
小道具の扱い方を覚える
足さばきを覚える
演目を通しで覚える
番数を上げる

以上の順番でステップアップしていきます。そのうち、①②の基礎的な部分を学ぶだけでも、ずいぶんと身のこなしが変わってきます。

芸能としての日本舞踊

一般的に「芸を磨く」「所作を磨く」と、よく言いますが、この「芸」とは一体何かというと、「修錬して身に着けた技能や、技術」だということができます。また「芸能」とは何かといわれると、「観客の前で芸を披露すること」を言います。

さて、そういったことを考えたときに、日本舞踊ではその立ち振る舞いや所作に至るまで全てを「芸」ということができます。つまり、立っているだけで人々を魅了することができればそれは立派な「芸」ということができるのです。

最初に、日本舞踊は「生活していた人々が美しいと感じた体の動きやしぐさを舞台上で表現するべく作り上げられてきたものだ」と言いましたが、それはつまり日本舞踊を学べば、その日常の動きやしぐさを一つの芸術として、美しく習得することができるのです。

日本舞踊を習っている芸能人

女優の壇蜜さんや、土屋太鳳さん、そして木村多江さんも長年日本舞踊を続けているそうです。
特に壇蜜さんは名取という資格を持ち、日本舞踊家としても活躍しています。

日本の伝統文化をたしなみながら、自分自身をより美しく磨くことのできる日本舞踊。ぜひ皆さんも挑戦し、芸や所作を磨いてみてはいかがでしょうか。