アドラー式子育てとは?
大切な子供の子育て方針は、子供の人格形成にも大きく影響するため、悩むことも多いですよね。
「叱ってばかりで嫌になるけど、叱らなければ分かってくれない」
「褒めて伸ばすって言われても、ついつい悪いところばかり指摘してしまう」
「叱らないように意識しているけど、本当に叱らなくて大丈夫なの?」
このような不安を抱えているパパやママは多いでしょう。
そこで、注目されているのが「アドラー式子育て」です。
アドラー式子育てとは?
・精神科医アドラーが提唱する「アドラー心理学」の考え方「人間はみんな平等。上下関係がない。」を基本に、親と子が対等な関係を築く子育て。
親が子供に対して1人の人間として接することで、子供の意思を尊重し自立を促す子育て方法ということですね。
アドラー式子育てでは、解決しなければならない課題や困難に立ち向かう勇気を持つことが大切だと考えられています。
子供にその勇気を持たせるために必要なのは、褒めることでもなく、叱ることでもなく「勇気づけること」が不可欠だと考えます。
では「アドラー式子育て」をより理解するために、アドラー心理学について詳しく学んでいきましょう。
アドラー心理学とは?
オーストラリアの精神科医であるアルフレッド・アドラー氏が提唱する思想です。
アドラー心理学は「人間は目的を果たすために生きており、自分自身が道を選択している」と考えます。
2013年にアドラー心理学をもとにした書籍「嫌われる勇気」がヒットしたことで、日本でもこの思想が広まりました。
ちなみに「嫌われる勇気」はドラマ化もされています。
「アドラー心理学」には、子育てにも適した考え方が多いとして注目されるようになり「アドラー式子育て」を実践したいという声も増えていきました。
例えば…
・「勇気づけ」を大切にする
・自分らしさを尊重する
・自立を目指す
・人が人を支配しない
このように、親が子どもの未来のために役立つと思えるポイントが多いのも、アドラー心理学が支持される理由の1つです。
アドラー心理学で特に大切にしているのが「共同体感覚」です。
1人1人が自分らしくいること、お互いに協力し合える関係を築く、人と人が対等な関係であるなど、親が子供に伝えたいことに繋がっていますよね。
アドラー式子育てのメリット
アドラー式子育てを実践して取り入れると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
アドラー式子育てのメリット
自己肯定感が高くなる
アドラー心理学では、自分の人生は、あくまで自分のものであると考えます。
例えば、自分のことが好きになれない人は、育った環境や過去のトラウマが原因だと考えるようになります。
しかし、アドラー心理学の考えでは、自分のことが好きになれないのは自分が好きになろうとしていないだけで、周りからの影響は関係ないと考えます。
つまり、自分を好きになろうと思えば、自分の考えや行動次第でなれると考えるため、自己肯定感を上げることにも繋がります。
自立心が芽生える
アドラー式子育ては、勇気づけで子供の自立心を促します。
子育てはどうしても、叱る、褒めるを繰り返してしまうパターンが多いです。
しかし、この繰り返しは、子供が勇気を出すきっかけを奪う恐れもあります。
普段から叱られてばかりいると、挑戦することが怖くなり、叱られないように自分で行動せずに、大人からの指示を待つようになってしまいます。
また、子供が目標を達成した時に「すごいね」と褒めるよりも、子供が目標を達成するために頑張ろうとする気持ちを、勇気づけてサポートすることはさらに大切だと考えます。
自分で判断する力が身につく
アドラー式子育てで、子供に対して勇気づけをしながら、子供の考えや行動を尊重して接すると、子供は自分の言動に自信がついて、考えて行動することが楽しくなります。
子供が迷っている時に「こっちが正解だよ」と教えるのではなく、子供が自分で判断するのを待ちます。
失敗しても、慰めるのではなく、もう一度やってみようと思うような勇気づけをしてあげましょう。
こうして失敗しても、何度も挑戦すれば成功できるという自信が付けば、自分で判断して行動することを恐れない心が育ちます。
アドラー式子育ての注意点
アドラー式子育ては、子供にも親にもメリットが多い方法だということはよく分かりましたよね。
「叱る」「褒める」ではなく「勇気づける」と言葉で聞くと簡単に感じるかもしれませんが、注意しておきたいこと、忘れてはいけないこともいくつかあります。
アドラー式子育ての注意点についても確認しておきましょう。
アドラー式子育ての注意点
子供と対等に接すること
アドラー式子育てで大切なのは、子供に対しても1人の人間として対等に接することです。
例えば、子供の機嫌が悪く泣き止まない時に「こういう年頃だから」「眠たくて機嫌が悪いんだね」と決めつけてしまうのはよくあることです。
しかし、子供を1人の人間として接するなら、子供が泣いている理由もしっかり理解して接する必要があります。
叱ったり褒めたりしなくていいからといって、楽なわけではありません。
子供を1人の人間として尊重するということは、子供の気持に寄り添い、丁寧に接する必要があります。
すぐに諦めない
子供が自分で考えて行動する時「勇気づけ」を続けることは簡単なことではありません。
実践し始めてすぐに効果が出るわけではありませんし、勇気づけをしながら子供の自立心が育っていくのを見守ることが大切です。
子育ては、大人が我慢してしまう出来事もたくさんありますよね。
例えば、子供と遊んでいる時に親を困らせるようなことをしたら「遊びだから少し位いいか」「注意すると機嫌が悪くなるから注意しないでおこう」と考えてしまうことはないですか?
このように「子供だから仕方ない」と親が我慢するのは対等ではありません。
「どうしてそんなことをしたの?」「そういうことをすると、ママは悲しい気持ちになるよ」と、その行動をした理由、相手の気持を伝えて大人と対等に話をしなければいけません。
しかし、相手は子供なので、すぐに理解できないことも多いです。
それでも、対等でいるように意識することを続けてみましょう。
10歳までに実践する
子供の人格や性格は10歳までに形成されると言われているので、10歳までの関わり方が重要になってきます。
アドラー式子育ても10歳前後までの実践が効果的なため、勇気づけはもちろん、対等に接するのも早い段階から実践していきましょう。
アドラー式子育ての実践方法
「さっそくアドラー式子育てを実践してみたい!」と思っても
・「褒める」と「勇気づけ」の違いが分からない
・こういう状況の時はどう接すればいいの?
・対等に接するってどうするの?
など、どうすればいいのか分からないこともありますよね。
最後に、アドラー式子育ての実践方法をチェックしておきましょう。
Q.子供が習い事に行かないと言った時はどうすればいい?
A.「行かなかったらお小遣いあげないよ」「頑張って行ったら○○買ってあげるよ」など、条件を付けて接するのは対等とは言えません。
「なぜ行きたくないの?」と行かない理由を聞いて共感しましょう。
さらに、習い事をしている目的について話し合ってみるなど、一緒に解決方法を考えるといいですね。
「練習をしていないから行きたくない」「先生に怒られるから行きたくない」など具体的な理由を聞いても「それは自分が悪いでしょ!」と叱るのはNGです。
行きたくない理由をなくすにはどうするべきかを一緒に考えて、子供が自分で解決策を導き出せるように勇気づけましょう。
Q.毎日兄弟げんかばかりするのをやめさせたい
A.兄弟げんかは、見ている親にとってもストレスを感じてしまいますよね。
しかし、子供同士の喧嘩には、危険がある時以外は親が口を出すのはNGです。
「早く仲直りしなさい」「どっちも悪いでしょう」など、親が解決しようとせず、親が見ているのがストレスになる場合はその場を離れましょう。
子供同士の気持ちが落ち着いてから「どうして喧嘩になったのか」「どうするべきだったのか」について話を聞きます。
共感して聞くべきですが、どちらかの味方になるのはNGです。
解決方法も親が決めるのではなく、子供同士で解決できるように勇気づけましょう。
アドラー心理学やアドラー式子育てについて詳しく学びたい場合は、本や通信講座で学ぶこともできます。
また、最近は習い事でも褒めない、叱らない「アドラー式子育て」を取り入れているレッスンも増えてきました。
特に子供の自立心を大切にする幼児教室や、演技や歌、ダンスなどのエンターテイメントを学ぶ芸能スクールなどのレッスンも「自分で考える力」を重視していることが多いです。
子供の自立心を育むアドラー式子育て、親子で今から実践してみませんか。