深呼吸する女性

腹式呼吸の発声ってどんなもの? 方法や効果、練習法を解説

腹式呼吸とは?

おすすめの呼吸法として、良く紹介される「腹式呼吸」。
普段はあまり呼吸法を意識していない人でも、学校の音楽の授業などで、やったことはあるのではないでしょうか。
今回は、腹式呼吸は、どのような呼吸法で、どんなメリットがあるのか、また練習方法についても詳しく解説していきます。
はじめに、腹式呼吸について詳しく解説していきます。

普段の生活では、胸の動きが目立つ「胸式呼吸」になっている人もたくさんいます。
胸式呼吸は、肋骨と肋骨の間にある筋を動かして呼吸をするので、息を吸った時に胸や肩の動きが目立ちます。
特に女性は、胸式呼吸になっている人が多いというデータもあります。

腹式呼吸は、横隔膜が動く呼吸法なので、息を吸った時に、お腹が膨らむのが特徴です。
反対に吐くときには、お腹がへこみます。
普段は胸式呼吸の人でも、寝ている時や、横になっている時には、腹式呼吸になっているので、横になってお腹を触ってみると、イメージしやすいですよ。

腹式呼吸と胸式呼吸の違い

人間の脳は、自分の意思で動かせる「体性神経」と、自分の意思ではなく体をコントロールする「自律神経」からの指示を受けている部分に分かれますが、呼吸は自分の意思ではなくできるものの、両方からの指示を受けているので、呼吸を整えると、自律神経も整える効果があると言われています。

つまり、不安や心配事がある時には、呼吸は浅く、荒くなります。
しかし、リラックスしている時には、呼吸が深くなるので、自律神経に働きかけます。
呼吸が浅い「胸式呼吸」よりも、深く息を吸える「腹式呼吸」の方が、心身ともにリラックスできる事が分かりますよね。

この他の部分でも、胸式呼吸と腹式呼吸の違いがたくさんあるので、見てみましょう。

胸式呼吸の特徴

・交感神経が動く
・心拍数が上がる
・血圧が上昇する
・末端の血管が収縮する
・α派が小さい
・女性に多い

交感神経が動く・心拍数が上がる・血圧が上がるという特徴から、胸式呼吸では自律神経が、運動をした時のような状態である事が分かりますよね。

腹式呼吸の特徴

・副交感神経が動く
・心拍数が下がる
・血圧が下がる
・α波が大きい
・末端の血管が拡張する
・男性に多い

腹式呼吸では副交感神経が動いたり、心拍数、血圧などの数値も落ち着くことから、とてもリラックスしている状態である事が分かります。
つまり、普段から腹式呼吸が出来ていれば、心身の安定を保ちやすくなります。

腹式呼吸の効果とは?

日常的に腹式呼吸をしていると、胸式呼吸に比べて、リラックス効果が高いことはよく分かりましたよね。
しかし、腹式呼吸の効果はそれだけではありません。
腹式呼吸で現れる、体の嬉しい変化について、紹介していきます。

便秘解消

腹式呼吸は、お腹に空気をたくさん入れるので、腹筋や横隔膜を刺激します。
すると、腹腔の内側の圧を高めるので、腸が刺激を受け、スムーズに排便することができます。

ダイエット効果

腹式呼吸は、肩や胸を動かさずに、お腹だけを動かすので「お腹痩せ」効果もあります。
普段の呼吸を腹式呼吸に変えただけで、ポッコリお腹がへこんだという体験談もたくさんあります。

免疫力アップ

腹式呼吸は、横隔膜を上下に動かすので、内臓も一緒に動きます。
すると、肺や心臓、その他の内臓へと、全身の血液の流れがスムーズになり、血行が良くなります。
血行が良くなると、体温が上がり、免疫力アップに効果があると言われています。

インナーマッスルを鍛える

ダイエット効果と共通しますが、腹式呼吸では横隔膜以外に、骨盤底筋群・腹横筋・多裂筋のインナーマッスルが鍛えられます。
インナーマッスルが鍛えられると、ポッコリお腹をへこませるだけでなく、腰痛、猫背、尿漏れなどの防止効果があります。
また、良い発声をするためにも、インナーマッスルは重要です。

声量が上がる

普段、声が小さい人や、発声が上手くできない人は、腹式呼吸で声量をアップさせるのがおすすめです。
腹式呼吸は、たくさんの息を吐くことができるので、声帯が振動することで、通る声を出せるようになります。

腹式呼吸の練習方法

では、いよいよ腹式呼吸の練習方法を紹介していきます。
最初は上手くできなくても、問題ありません。
練習していくうちに、意識しなくてもできるようになります。

腹式呼吸の基本

①息を吸う時はお腹を膨らませながら鼻から吸う
➁息を吐くときはお腹をへこませながら口から吐く
③肩や胸は動かない

では、次に腹式呼吸の正しいやり方を見ていきましょう。

正しい腹式呼吸のやり方

①お腹に力を入れて、へこませながら息を吐き切ります。

➁一旦息を止めて、お腹の力を抜きます。

③お腹に手を当てて、5秒間かけてゆっくり鼻から息を吸い、お腹が膨らんでいるのを確認します。

④そのまま3~5秒間息を止めます。

⑤10秒間かけて、ゆっくり口から息を吐き続けます。

⑥吐き切ったら、お腹の力を抜き、再び鼻から息を吸います。

※最初は5秒で吸って、10秒で吐くのが出来なくても問題ありません。
もう少し短い秒数から始めて、少しずつ練習していきましょう。

「なかなかコツが掴めない」という人は、横になった状態や座った状態など、自分のやりやすい姿勢からはじめてみると、コツを掴みやすくなります。

腹式呼吸で発声するメリットは?

普段の呼吸法に腹式呼吸を取り入れると、様々なメリットがあることが、よく分かりましたよね。
腹式呼吸に慣れてくれば、今度は腹式呼吸を使った発声法方や、歌唱方法にも挑戦してみませんか?
歌手を目指す人はもちろん、日常的にも、腹式呼吸での発声を使えれば、声が通るので、仕事や交友関係にも自信が持てるようになりますよ。

はじめに、腹式呼吸を使った発声「腹式発声」について説明していきます。
腹式発声は、プロの歌手や役者も使っている方法で、お腹から声を出すことができます。

胸式呼吸での発声は、喉への負担が大きく、喉を傷めたり、声がかすれる原因にもなります。
喉をリラックスさせた状態で発声できる腹式発声は、メリットがたくさんあります。

腹式発声のメリット

大きな声を出せる

腹式呼吸で発声すれば、喉ではなくお腹から声を出すことができます。
お腹から声を出すことができれば、喉がリラックスした状態で、発声できるので、声量のコントロールもしやすくなります。

声に感情表現が付けられる

声量をコントロールできれば、歌でも話し声でも強弱をつけることができます。
歌の場合は緩急や抑揚をつけると、感情表現豊かな歌声になり、聴く人の心に響きます。
話す時にも、相手に伝わりやすく、感情が伝わるので信頼されやすくなるのもメリットと言えるでしょう。

ロングトーンができる

歌を歌う時に、息をたくさん吐くことができる腹式発声であれば、ロングトーン(語尾を長くのばす)ができるようになります。
ロングトーンができれば、パワフルな歌声で歌えます。

腹式発声の練習方法

腹式呼吸ができるようになれば、腹式発声の練習もしてみましょう。

短く息を吐く練習

息を短く吐きながら発声する方法を「ドッグブレス」と言います。
ドッグブレスは、横隔膜を意識しながら「フッフッフッ」と、短く息を吐く練習です。
息を吐いた時に、お腹がへこんでいることを確認しましょう。

息を止める練習

息を止める練習は、腹式発声だけでなく、肺活量を鍛える練習にもなります。
腹式呼吸の練習と同じように、鼻から息を吸って、一度止め、ゆっくり吐き切ります。
吐き切ったら、息を止めて体の力を抜きます。
その後、もう一度鼻から息を吸うところから、繰り返しましょう。

お腹に息をためる練習

おへそから指4本分ほど下の部分に手を当てて、鼻から息を吸います。
手を当てている部分が膨らんで、空気がたまっているのを確認します。
手を当てた部分が少し固くなっていれば、上手く空気を溜められています。

毎日少しずつ練習をすれば、いつの間にか上手くできるようになります。
健康のためにも、発声のためにも、腹式呼吸を練習してみましょう。

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