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歌舞伎役者の格付けって? 屋号でランクがあるって本当?

2021.02.18 / 俳優

歌舞伎界の屋号って何?

歌舞伎の舞台で活躍する歌舞伎役者は、テレビなどのメディアに出演することも多く、歌舞伎ファンではない人でも、知っている役者が、たくさんいるのではないでしょうか。
しかし、歌舞伎の世界には「屋号」や「襲名」など、詳しくは知らない言葉や決まりがあります。
歌舞伎の世界で使われる「屋号」や「格付け」について詳しく解説していきましょう。

はじめに、歌舞伎役者の「屋号」について、知っておきましょう。
歌舞伎の観客が「○○屋!」と叫ぶ「大向う」を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
この「○○屋」というのが歌舞伎の「屋号」です。
武士以外の人には名字がなかった江戸時代に、商人などの職業につく人が屋号を使っており、役者もこれを真似て使うようになったと言われています。
しかし、名字がそのまま屋号になっているとは限りません。
屋号は、市川海老蔵さんが受け継いでいる「成田屋」が始まりだと言われています。
現在使用されている主な屋号を見ていきましょう。

歌舞伎役者の屋号

・成田屋(なりたや)・・・市川海老蔵 他
・高麗屋(こうらいや)・・・松本白鸚・松本幸四郎 他
・音羽屋(おとわや)・・・尾上菊五郎・尾上菊之助 他
・澤瀉屋(おもだかや)・・・市川猿翁・市川猿之助・市川中車 他
・松嶋屋(まつしまや)・・・片岡仁左衛門・片岡秀太郎・片岡愛之助 他
・播磨屋(はりまや)・・・中村吉右衛門・中村歌昇 他
・中村屋(なかむらや)・・・中村勘三郎・中村勘九郎・中村七之助
・大和屋(やまとや)・・・坂東玉三郎・坂東巳之助 他
・萬屋(よろずや)・・・中村時蔵・中村隼人・中村獅童 他

代表的な屋号を書きましたが、他にもたくさんの屋号があり、全部で100種類以上あります。

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屋号と格付けの関係

歌舞伎の家元には、それぞれ「屋号」がありますが、屋号にはどんな役割があるのでしょうか。
歌舞伎役者の格付けにも、屋号が関係すると言う話も聞きます。
しかし、歌舞伎役者の格付けは、屋号だけで決まるものではありません。
歌舞伎役者の格付けは、実力で評価される厳しい世界です。
歌舞伎の舞台は観客に見てもらうことで成り立っているので、演技力、人気、実績などを含めてランク付けをされ、人気の高い人は格付けが上になります。
人気が高くお客さんを集められる役者ほど、良い役が与えられ歌舞伎役者としての格付けが上位になります。

しかし、歌舞伎役者ではなく屋号だけで言えば、古くから受け継がれている「屋号」の方が、格が上だとされています。
つまり、歌舞伎界で初めて屋号を付けたとされる「成田屋」は、歌舞伎界の宗家と言われており、最も格が上の屋号になります。
「成田屋」と言えば、初代市川團十郎さんから、その名跡は代々受け継がれ、2013年に十二代目市川團十郎さんが亡くなってから、長く空位となっていましたが、十一代目市川海老蔵さんが十三代目市川團十郎白猿を襲名することが発表されています。
屋号での格付けでは「成田屋」の他に「音羽屋」「高麗屋」「中村屋」などが、格付けのランクが高いとされています。

屋号の由来とは?

難しい漢字や読み方も多い「屋号」ですが、それぞれの由来も気になりますよね。
有名な歌舞伎の屋号の由来を紹介していきます。

成田屋

歌舞伎の家元に初めて付けられた屋号と言われる「成田屋」は、後に他の歌舞伎の家元にも屋号が付けられるきっかけとなりました。
初代市川團十郎さんが、跡継ぎに恵まれず「成田山新勝寺」に祈願して、子宝に恵まれたことが「成田屋」の屋号の由来となっています。

音羽屋

歌舞伎界の名門一家として知られる「音羽屋」は、初代尾上菊五郎さんの父親が、生まれた場所である京都の清水寺にある音羽の滝から付けられたと言われています。

中村屋

「中村屋」という屋号で歌舞伎の家元が始まったのは、1950年頃です。
もともとは、江戸時代に興業を行っていた「中村座」として受け継がれていましたが、役者がいない時期が続き、十七代目中村勘三郎さんが「中村屋」として復活させました。

澤瀉屋

初代市川猿之助さんが澤瀉(薬草)を取り扱う薬局を、副業として商っていたことが「澤瀉屋」の屋号の由来です。

播磨屋

江戸時代の豪商の番頭の子供として生まれた、初代中村歌六さんが、播磨屋作兵衛の養子に出されたことが「播磨屋」の名前に由来しています。

歌舞伎役者の妻の格付けとは?

歌舞伎の世界では、屋号や名跡(芸名)の襲名など、たくさんのしきたりがあります。
この歌舞伎の世界特有の社会を「梨園」と呼びますが、歌舞伎界に嫁いだ歌舞伎役者の妻が「梨園の妻」と呼ばれるので、聞き覚えがあるのではないでしょうか。
実は、梨園の妻にも格付けはあり、基本的には歌舞伎役者である夫の格に準じています。

梨園の妻には、元女優や大御所俳優の娘などもたくさんいますが、梨園の妻となれば、妻にどんな肩書があろうと、格付けには関係ありません。
女優としてのキャリアが上であっても、梨園の妻となれば夫の格で判断されます。

梨園の妻は、歌舞伎役者の夫を支える存在で、決して表に出て夫よりも目立たないように行動しなければなりません。
芸能人から梨園の妻となった人と言えば、八代目中村芝翫さんの妻である三田寛子さん、六代目中村勘九郎さんの妻・前田愛さん、六代目片岡愛之助さんの妻・藤原紀香さんなど、有名な人がたくさんいますが、梨園の妻としては夫の格付けに準ずる地位になります。

歌舞伎の屋号にまつわる話

歌舞伎役者の屋号は古くから使われ、その歴史が家柄の格付けにも関わることが分かりましたが、屋号に関しては、まだまだ知らないこともたくさんありますよね。
最後に、屋号に関する疑問をいくつか紹介しておきます。

兄弟で屋号が違うのはなぜ?

実際に血のつながった兄弟でも、屋号が違う歌舞伎役者もいます。
例えば、歌舞伎の家元では家を継ぐ男の子が生まれない場合、養子をもらって跡継ぎにすることも多い世界です。
同じ家元に、男の子が数人生まれれば、他の歌舞伎の家元に養子に出される場合があります。
例えば高麗屋の松本白鸚さんと播磨屋の中村吉右衛門さんは兄弟ですが、播磨屋に中村吉右衛門を継ぐ男の子がいなかったため、次男が播磨屋の養子となったため、実の兄弟ですが、違う屋号で活躍しています。

また、同じ屋号なのに違う姓を襲名するのは、名前が途絶えることを防ぐために二つの姓を使っていた例もあります。
例えば、高麗屋であれば「松本」と「市川」の名を順に襲名しているのは、このパターンに当てはまります。
この場合は、血のつながった兄弟であっても違う姓の名跡を襲名することになります。

屋号と芸風は関係ある?

屋号は歌舞伎の家柄の看板のような役目がありますが、その家元の芸風を表すものでもあります。
歌舞伎役者は、屋号によって、名跡だけでなくその特徴となる芸風も受け継いでいます。
それぞれの屋号に代表的なお家芸があり、例えば、成田屋のお家芸と言われるのは「荒事(あらごと)」という演技・演出で、超人的な力を持つ主人公が、見得などの演技、衣装や小道具などの演出で荒々しく演じる演目です。

それぞれのお家芸に注目しながら歌舞伎を楽しむと、より楽しむことができるのではないでしょうか。

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