声優の声質
声が特徴的な人は「アニメ声だね」「声優になれそうだね」と声をかけられることもあるのではないでしょうか。
しかし、良い声と悪い声というのは、聞く人の感じ方によって違います。
もちろん、多くの人から「声が魅力的」と評価される声質の人は、声優としてもたくさんの人から「良い声」と言われることも多いでしょう。
では「声に特徴がない」「自分の声が嫌い」「声が変と言われる」という人は、声優になれないのかと言われれば、そんなことはありません。
声優になるために声質は重要?
声優になるために声質は重要かと聞かれれば、答えは「イエス」です。
しかし、声の評価はあくまでも主観です。
声優に向いていそうな声の人でも、声に合わないキャラクターを演じれば、聞いている人は不快に感じることもあります。
自分では「あまり良い声ではない」と感じていても、キャラクターのイメージにピッタリハマれば、聞いている人も気持ちよく聞くことができます。
さらに、声優にとって声質よりも大切なのは、声の使い方やレパートリーの多さ、表現力などのテクニックです。
また、無理をして声を出していると、喉がつぶれてしまったり、安定した声が出せなくなるので、声を出す時に喉に負担をかけない、基礎テクニックも重要です。
声優の声に求められること
・キャラクターとの相性
・表現力
・声のレパートリー
・声の出し方
声質は変えられる?
元々の地声の声質は、持って生まれたものですが、トレーニングをすれば、様々な声質の声を使えるようになります。
声優が、1人で複数の役を演じることはよくありますが、同じ人の声とは気づかない程、幅広い役を演じる声質を持っています。
これに関しては才能ではなく、トレーニングなどの努力によって身に付けることになります。
声質を変えるには、どのような方法があるのでしょうか。
声質を変える方法
・声の高さを変える
・声の大きさを変える
・声の明るさを変える
・声の太さを変える
小さな声と大きな声を出した自分の声を、録音して聞いてみると、かなり印象が違います。
同じように声の高さや明るさ、太さを変えてみても印象は変わりますよね。
このように、今すぐにできる方法でも、声の印象を変えることができます。
しかし、声優を目指して声質を変えたいのであれば、しっかりとトレーニングをして、様々な声質を安定して出せるように、努力が必要です。
声優が使う声質の分類
声質を変えるトレーニング方法を知る前に、声質にはどんな種類があるのか、その分類から見てみましょう。
【ファルセット(裏声)】
歌を歌う時に使うイメージが強いファルセットは、声優がキャラクターの声を出す時にも使うテクニックです。
地声よりも高い声を出せるので、声の使い分けができてバリエーションが広がります。
【ウィスパーボイス】
息が混じった、ささやくようなウィスパーボイスは、表現の幅を広げることができます。
例えば、戦った後にダメージを受けた時の声や、切ない声などを演出できます。
【ミックスボイス】
地声と裏声の中間の声を、ミックスボイスと言います。
歌手が歌を歌う時に、裏声よりもパワフルに高音を出したい時などに使うテクニックです。
高音を柔らかい印象で表現することができます。
【ミドルボイス】
ミックスボイスと似ていますが、やや地声よりの、裏声というイメージです。
パワフルに高い声を出すことができるので、元気な女性キャラクターを演じる時などによく使われます。
【チェストボイス】
チェストボイスは、地声を胸に響かせるように発声する方法です。
低音を安定させて力強く出すことができるので、男性俳優がキャラクターを演じる時によく使います。
迫力のあるキャラクターを演じる時にも、表現しやすくなります。
【エッジボイス】
エッジボイスは、鼻腔に声を響かせながら発声する方法です。
発声や、ボイストレーニングの基礎練習にもよく使われる方法ですが、安定して出せるようになれば、印象的な低音の声や、切ない声を表現できるようになります。
【ヘッドボイス】
ヘッドボイスは裏声ですが、ファルセットのように息が漏れる声の出し方ではなく、力強く頭の先から思いっきり高音の声を出す方法です。
小さな女の子の役や、可愛いキャラクターを演じる時に、適した声を出せるようになります。
声質のトレーニング方法
声質を変えたり、出せる声の幅を広げるためには、様々なトレーニングを重ねて努力することが重要です。
声質を変えるトレーニング方法を紹介します。
【喉を開くトレーニング】
「自分の声が好きじゃないな」「声が響かないな」と感じている人は、喉に力が入って閉じた状態で声を出していませんか?
良く通る声を出すためにはもちろん、様々な声のテクニックを使うためにも、喉を開いて声を出すのが基本です。
歌う時や話す時に、高音が出しにくく、やわらかい声を出せない人も、喉を開けるようになれば、改善するかもしれません。
喉を開くコツ
・口蓋垂を上げて喉の奥が見えるように口を開ける
・舌の付け根を下げる
・首や肩の力を抜き姿勢を正す
・まっすぐ前を見る
【腹式呼吸のトレーニング】
腹式呼吸も、声を出しやすくするための基本となります。
胸に空気を溜める胸式呼吸では、肩や喉に力が入ってしまい、喉が閉じやすくなってしまいます。
腹式呼吸でお腹にたっぷり空気をためて声を出せば、迫力のある発声ができます。
腹式呼吸の練習
①お腹に力を入れて、へこませながら息を吐き切る。
②息を止めて、お腹の力を抜く。
③お腹に手を当てて、5秒間かけてゆっくり鼻から息を吸い、お腹が膨らんでいるのを確認する。
④そのまま5秒間息を止める。
⑤10秒間かけて、ゆっくり口から息を吐き続ける。
⑥吐き切ったら、お腹の力を抜き、再び鼻から息を吸う。
普段、胸式呼吸になっている人は、腹式呼吸に慣れるまで難しく感じるかもしれません。
コツを掴めない場合は、横になって呼吸をしてみると、自然と腹式呼吸になるので、感覚を掴みましょう。
【声帯を閉じるトレーニング】
喉を開いて声を出すのが基本ですが、声帯は自由自在に閉じられるようになると、力強い声を出すことができます。
声帯を閉じる「声帯閉鎖」ができないと、息が漏れて声のコントロールが難しくなります。
ハリのある通る声を出すためには、適度に声帯を閉じられるように、コントロールできるといいでしょう。
声帯を閉じる練習
・低い声で「アッ、アッ、アッ、アッ」と言いながら声帯が開閉する感覚を意識します。
さらに、舌の動きも声の出し方に大きく影響するので、舌をスムーズに動かせるようにトレーニングするのも、おすすめの方法です。
舌のストレッチ
口を大きく開けて舌を上下左右、前に思いっきり出します。
舌をぐるぐる回す動作も効果があります。
声優に求められる声質
声優に求められる声質は、キャラクターに合う声です。
人気のキャラクターの声優が別の人に変わった時には、慣れるまでに時間がかかることがよくありますよね。
それくらい見ている人は、キャラクターに対する声のイメージを強く持っています。
声質を変えたり、出せる声の種類を増やすのももちろん大切ですが、オーディションを受ける時には、自分の声に合うキャラクターのオーディションを選ぶことも必要です。
本格的に声優を目指すために、声質を変えるトレーニングをするなら、専門学校などで基礎から学ぶことをおすすめします。