演技とは?演技の基本から応用 これぞ役者魂のエピソード

2020.02.19 / エンタメ, 俳優

芸能界で活躍したいのなら、ある程度の演技力は必須です。

ドラマや映画の俳優として活躍したい方はもちろんですが、タレントでも共演者の話に一喜一憂するなど、どの仕事においても「演じる力」は不可欠。

テレビを通じて役者の演技を観ている分には「自分にもできそう」と思えますが、いざ演技をしようとすると不自然になりがちです。

自然な演技をするには、まず演技とは何か、演技の基礎を知ることから始めていきましょう。

演技の基本

演技とは、コミュニケーションの方法です。

ドラマでも映画でも、「その世界に住む一人」になりきるためには、演技力が必要不可欠。

自然にその役に溶け込むためには、「表情」「発声」「表現」の3点に重きを置くと良いでしょう。

演技の方法1「表情」

よく「目には感情が宿る」といいますが、目を含めた顔全体の演技で喜怒哀楽が表現できます。

たとえば朝の洗面のときや、外出先のトイレなど、鏡を見るときはだいたいすまし顔ですよね。

しゃべるときにはどんな表情になっているのか、怒りを感じたときにはどんな表情になっているのか、涙を流すほど悲しい気分のときにはどんな表情になっているのか・・・ 自分の表情の変化を詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

喜怒哀楽を的確に表現するためには、自分の表情の変化を知ることが大事です。
「無」を表すすまし顔をベースに、気分の変化を感じるたびに鏡を見る習慣をつけましょう。それらの表情に、求められるシーンごとに少しアレンジを加えれば、場に応じて適切に表情を使い分けできるはずですよ。

演技の方法2「発声」

演技は相手とのコミュニケーションツールなので、ぼそぼそと細い声や、滑舌が悪い声ではせっかくの演技が台無しになってしまいます。

基本は、腹式呼吸を意識してください。胸から声を出すのではなく、腹の底からの発声を。
腹式呼吸は、普段からでも練習ができます。家族や友人など、会話をする機会があるときはぜひ腹式呼吸を意識しながら話してみましょう。習慣化すれば、あえて意識しなくても自然と身につき習慣化できることでしょう。
そのときに、滑舌も意識できたら良いですね。早口言葉で練習したり、ハキハキとしゃべるようにすると改善しやすいですよ。

演技の方法3「表現」

「表情」も「発声」もすべて織り交ぜたのが、「表現」。

プロの俳優でも「より良い表現を」と追及し続けることは珍しくなく、自分の表現に納得がいかないときは監督と相談して表現方法を模索することもあります。

たとえば、「平気だよ」というセリフがあったとします。
たった数文字の言葉ですが、シーンに合わせて的確に表現することが求められます。
道につまずいて立ち上がったときに言う「平気だよ」、失恋で泣き続けて友人から心配されたときの「平気だよ」、待ち合わせ相手から渋滞で10分遅くなると連絡が来たときの「平気だよ」・・・ それぞれのシーンと照らし合わせて考えると、同じ言葉でも発するべきトーンはまったく異なることに気づくはずです。

また、「間」も重要です。
質問されてすぐに答える「平気だよ」は心から気にしていないことが伺えますが、質問された後に「・・・・・・・・・・・・平気だよ」とあえて間を空けて答えれば『本当は平気じゃないけれど強がっている』というニュアンスが表現できます。そのときに涙を浮かべた笑顔をつくれば、さらに複雑な心境を伝えられることでしょう。

このように、「表現」は一筋縄ではいきません。あなたの発するセリフひとつで、視聴者に伝える「心情」がまったく異なるものになるのですから。

相手の心に届くための演技とは?

演技の基礎を身につけたら、いよいよ応用編です。
基礎を軸にして、さらに演技力に磨きをかけましょう。

たとえば、弟の死に直面するシーンを演じなければならないとします。
しかし、あなたが身内の死をまだ経験していなかったり、そもそも一人っ子で弟という存在がよくわからなかったりしたら、役柄に入り込めずどこかぎこちない演技になってしまうはず。

心に響くための演技とは、自分の内側にストックしているものを「出す」作業でもあります。
つまり、ジャンルを問わずに人生経験が多ければ多いほど、役者として完成しやすいということ。ドラマや映画を観たり読書をしたりして、できるだけ自分の中の「疑似経験」を増やしていきましょう。日常生活のワンシーンを切り取ったようなドラマはもちろん、救命救急の医師役など非日常的な役柄にも柔軟に対応できることでしょう。

有名芸能人たちの役者魂

誰もが名を知る俳優や女優。

「どんな役にもなりきれてすごい」と羨望の眼差しを向けられることも多いはずですが、実際は与えられた役柄を演じるために徹底した「役作り」をしていることがほとんどです。

役のためなら、知識の取得も体重管理もいとわない。私たちが普段観ているのは、彼らの役者魂の集大成なのです。

宮崎あおいさん

かわいらしいイメージの宮崎あおいさん。

スリムで小柄な体は、男女問わずに多くの支持を集めています。

しかし宮崎あおいさんは、原作のイメージに合わせた役作りのため、7キロも体重を増やしたそうです。
女性ということもあり体型を崩すのは相当な迷いがあったはずですが、「プラス7キロまではいきましたが目標体重にはまだまだでした」と明かしています。「役に近づけるのならいくらでも体重を増やします」と公言する彼女は、女性としても女優としても魅力的ですね。

ちなみに撮影終了後は食事制限とマッサージを駆使し、10日間で元の体重に戻したそうです。

唐沢寿明さん

「あなたがこの役で良かった」と、共演者からも褒められることが多い唐沢寿明さん。

彼は、「役のイメージを崩したくない」という理由で、放送中のドラマや公演中の舞台があるときは他の番組に出演しないと決めているそうです。

笑いのネタとなる「NGシーン」も放送が終わるまでは一切放送を許可することはなく、ひとつの役柄に責任を持って向き合っていたことがわかります。

一度現場でお世話になった方からも人気が高く、別のドラマで新しいキャスティングを考えるとき、「唐沢くんで」と特別指名をいただくことも少なくなかったそうです。

森山未來さん

森山未來さんは、「恵まれない環境の主人公」の役柄をもらったとき、その主人公になりきるべく生活環境を徹底的に変えました。

陽の当たりが悪い古アパートに住み、無精ひげを生やし、安い酒をあおる。主人公の「背景」を身をもって知ることで、役柄が染み込んだ演技が可能になると考えたのです。

独特な役を演じるためには、このようにキャラの「成り立ち」からなぞっていくのも一つの方法ですね。

西島秀俊さん

西島秀俊さんは、ある映画で「殴られ屋」としての役を与えられました。
映画監督を目指していた男が、兄の借金を返済するために「殴られ屋」としてお金を稼ぐ・・・という設定でした。

そのときの監督に、役作りのため「誰とも話すな」と指示されました。その指示を守った西島さんは、共演者、スタッフ、家族など誰とも一か月以上会話をすることなく、日本語の話し方を忘れそうになったとか。

身も心も削ることで生まれる、渾身の演技。第一線で活躍しているプロの方々は、あらゆる趣向を凝らして与えられた役柄に近づこうとしていることが分かります。

それを一言で表現するなら、「ストイック」。撮影時間以外にも、身も心も役柄に捧げ続ける彼らには、目を見張るものがありますね。

まとめ

演技の基本をはじめ、応用、そして役作りの方法まで様々にご紹介しました。

演技とは、とても奥深いもの。プライベートまで徹底的にその役になりきることで、ようやく見えてくるものも少なくないでしょう。

様々な方法を駆使し、様々な経験を積んで、視聴者の心をつかんで離さない「本物」の演技を見せてくださいね。