赤ちゃんのしゃっくりは、大人に比べて頻繁です。
おなかにいるときからしゃっくりをする子も多く、しゃっくりによる振動で「ああ今日は右側にいるのね」なんて赤ちゃんの位置を特定していたママも少なくないでしょう。
でも、生まれてからもしゃっくりが多いと「呼吸が苦しそう」「止めてあげたほうがいいのかしら?」なんて悩むこともあるはず。
なぜ赤ちゃんは、おなかにいるときも、生まれてからも、これほどしゃっくりが多いのでしょうか? そもそも、しゃっくりとは何なのでしょうか?
では赤ちゃんとしゃっくりの関係について、詳しくご説明します。
そもそもしゃっくりって病気なの?
私たち大人はもちろん、赤ちゃんもするしゃっくり。
赤ちゃんの胸に手を当てると、しゃっくりに合わせて大きくベコンベコンとへこむので、つい心配になってしまいますよね。
しゃっくりは、横隔膜のけいれんです。胃袋の上あたりにある横隔膜という筋肉が、なんらかの刺激によりけいれんを発症するとそれが「しゃっくり」となるのです。赤ちゃんの臓器はまだまだ未熟なのでなにかと刺激を受けやすく、それが赤ちゃんにしゃっくりが多い理由といわれています。
しかし、具体的に何が原因で発症するか詳しい原因は解明されていません。横隔膜への刺激が関連していることは確かですが、「ミルクを飲むときに空気を飲み込んでそれが横隔膜を刺激した」「体が冷えて萎縮することでそのときに横隔膜が刺激された」など、原因と考えられるものはいくつもあるのです。
しかし大人と同じように、呼吸が苦しいということはなく、また特別な対処をしないと永久に止まらない・・・というわけでもありません。病的なものではなく誰にでも起こりうる生理現象なので、ご安心ください。
ちなみに筆者の子どもが赤ちゃんのころは、寝ながらしゃっくりをしていました。寝かしつけようと抱っこをしていたのですが、しゃっくりが始まり、そのまま寝入りました・・・。すやすやと眠っているのに、定期的にヒックヒックと体が震えておもしろかったです。しゃっくりって不思議ですね。
しゃっくりの止め方
しゃっくりは、いつのまにか自然と収まっているものです。
無理に止める必要はありませんが、それでも「もうミルクの時間なのにずっとしゃっくりが続いていてミルクを飲ませられない」などお困りのときもあるでしょう。
ではしゃっくりを止めるにはどうしたら良いのでしょうか?
ミルクを飲ませる
ミルクや母乳など、飲ませることでしゃっくりが止まる・・・といった事例は少なくありません。
もちろん100%確実ではありませんが、しゃっくりの最中にあえてミルクを飲ませることで「あれ?止まった」ということは珍しくないのです。
でも、赤ちゃんが嫌がっているのに無理に飲ませるのはやめてくださいね。
げっぷを出す
しゃっくりは、横隔膜になんらかの刺激が加わることで起こるといわれています。
その一つが、「胃がふくれること」。
ミルクや母乳、空気などを飲み込むと、胃がふくれます。その刺激も、しゃっくりの一因となっていることが少なくありません。
やさしく縦に抱き、丁寧に背中を上方向になでていきましょう。げっぷが出ると、横隔膜への刺激がおさまるのでしゃっくりが止まることもありますよ。
温度調整を見直す
体の冷えも、しゃっくりの一因といわれています。
室温や衣服の調整はもちろん、おむつが濡れているとそれが原因で体が冷えることもあるのでご注意ください。
特に生後3か月くらいまでの赤ちゃんは、体温調節機能が未熟です。部屋には温度計を設置して、室温を常に意識するようにしましょう。
ただご注意いただきたいのは、大人にとっての「ちょうど良い」は赤ちゃんにとっての「暑い」かもしれないということ。赤ちゃんは常に背中が布団に接しているので、知らず知らずに熱がこもってしまうのです。
赤ちゃんが暑がっているのか寒がっているのかわからなかったら、首元(背中側)の襟に手を差し入れてみましょう。ひんやりしているようだったら、寒いということ。逆にモワッとこもった熱を感じたなら、着せすぎかもしれません。
絶対にやってはいけないしゃっくりの止め方
しゃっくりを止めてあげたくても、逆に赤ちゃんの負担になってしまってはいけません。
下手をすると命に関わることにもなりかねないので、絶対にこれらのことは行わないでくださいね。
驚かせる
しゃっくりが出ているときに誰かから「わっ!」と驚かされたこと、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
それで止まったという話はあまり聞きませんが、効果があってもなくても、それはあくまで「大人」のケースでの話。
心肺機能が未熟な赤ちゃんにとって、驚かされると心臓に負担がかかってしまいます。しゃっくりを止めるどころか、しゃっくりに加えて大きな泣き声が加わるケースも決して少なくないでしょう。
息を止める
たとえば電車など静かにしなければいけないとき、どうにかしゃっくりを止めたくてグッと息を止めた経験はありませんか?
それで止まった経験があるとしても、赤ちゃんに同じことを要求してはいけません。
赤ちゃんは「息を止めて」と言ったところで理解できませんから、大人が口を塞ぐしかないでしょう。
しかし赤ちゃんは、口呼吸と鼻呼吸が使い分けできません。「口を塞がれたから鼻から呼吸しよう」なんて、まだ器用なことはできないのです。
命に関わることになりかねないので、しゃっくりを止めるために口を塞ぐのは絶対にやめてください。たとえ静かにしなければいけない公共の場でも、赤ちゃんのしゃっくりならむしろ微笑ましいものですよ。
揺さぶる
赤ちゃんを揺さぶることは、いかなる場合でも絶対にやってはいけません。
赤ちゃんは脳が頭蓋骨の中でふわふわと浮いている状態です。これに上下左右の刺激が加わると、かろうじて脳をつないでいる血管がブチブチと切れ、乳幼児突然死症候群(SIDS)へとつながりかねません。
しゃっくりを止めるときはもちろん、泣いているとき、寝かしつけのときなど、シーンを問わずにご注意ください。
うつぶせに寝かせる
「体勢を変えればしゃっくりが止まるかも・・・」と、うつぶせ寝をさせるのも厳禁。
まだ自由に体が動かせない赤ちゃんにとって、うつぶせ寝は窒息の危険がつきまといます。
寝返りができるようになってからも十分に注意しましょう。
しゃっくりっていつまで見守っていいの?
しゃっくりは、特別に何かをしなくてもいつのまにか止まっているものです。
しかしあまりに長く続くようなら、病気の可能性も考えられるので病院へ連れていきましょう。
目安としては、2日以上。
病院では、しゃっくりの原因を特定し、それに合わせて治療をすすめていきます。
ただ、2日に満たなくても「しゃっくりが続いていて元気がない」「しゃっくりのせいで十分な睡眠が取れていない」など、他に異変を感じていることがあるならすぐに受診してくださいね。
まとめ
しゃっくりは、基本的には自然と止まっているものです。
たとえ音を出してはいけないような公共の場であっても、赤ちゃんのしゃっくりならむしろ場がなごむもの。無理に止めようとせず、やさしく見守ってあげましょう。
ただ、「どうしてもすぐに止めたい」など急ぎを要することがあったら、ミルクを飲ませてみたりげっぷを出させてみたり室温や衣服の調節をしてください。
またしゃっくりと共に発熱などの異常があるときは、すぐに医療機関を受診しましょう。