気象情報を知ることは、日常生活や仕事を行う上でとても便利ですし、事前に災害が起こることをある程度予想することも可能です。それだけ重要な気象情報ですから、正確な情報を届けるためにも、気象予報士には国家資格が設けられており、誰でもなれるわけではありません。特に、公共放送であるNHKの気象予報士になるためには、どういった手続きをふむ必要があるのでしょうか。
そこで今回は、HNKの天気予報士になる方法やその仕事内容をまとめました。気象予報士を志す方はぜひ参考にしてみてくださいね。
日常生活に必要不可欠な「気象予報士」はどんな仕事?
気象予報士の仕事とは、データの情報を分析して、未来の気象(天候・風の強さ・気温など)の事前予測を立てるプロです。
そして、人々に気象全般に関わる情報を届けることが仕事になります。
私たちに身近な気象予報士のイメージでは、例えば、テレビの情報番組に出演するお天気お姉さんやお兄さんが挙げられるでしょう。
ただし、「お天気キャスター」と「気象予報士」は、やれる仕事範囲が違います。
一見似ていますが、
・お天気キャスター=無資格者。天気情報を伝える仕事で、気象予測はできません。
・気象予報士=国家資格者。気象予測ができます。
以上の違いがあり、似ているようで仕事の範囲が異なるのです。
気象予報士の資格所有者は、全国に10,693人います。(※令和2年4月1日時点)
実は、天気予報士は、テレビ番組以外でも、さまざまな場所・分野で活躍しています。
例えば、天候によりどれぐらい商品の売れ行きが変わるのかを予測すること、船や航空機が安全に運行するための天候予測、建設業務のおすすめ時期を伝えること、環境のアセスメント調査などに役立てられています。
また、国の気象庁が認めている企業のみが、天候予測で情報を発信することが可能です。
そのため、専門性が高く、誰でもなれるわけではないので、不確実な気象情報が飛び交う心配がなく、人々は安心と信頼の元、天気予報の情報に頼れるわけです。
国家資格が必要な気象予報士になる方法とは?
気象予報士は、国家資格が必要で、資格修得の試験に合格する必要があります。
理由は、気象予測は簡単ではなく、天候・風の強さ・気温などに関するあらゆる知識を使って行われるため、実際に現場で通用する知識を持っているか、試験で試されるからです。
気象予報士になるには、試験合格をして資格を取得した後、気象庁長官による資格登録も必要です。
また一般的に、気象予報士の資格合格には、約1,000時間の勉強時間が必要で、試験の合格率は、約4~5%のため、難関資格とも言われています。
資格の勉強は、参考書や過去問題集などを利用。
気象に関する幅広い分野の知識が求められるため、気象関係の知識を一から勉強する場合、独学では時間がかかり難しいでしょう。
勉強方法は、独学では約1,500時間必要とも言われているため、気象大学校に通う、通信講座やスクールを受けるなど、外部の機関を上手く利用して、勉強されている方が多いでしょう。
通信講座やスクールでは、大枠とポイントを押さえた勉強方法が可能なので、大事なところが何かを早く把握できるため、その分勉強に集中する時間が取れるメリットがあります。
気象予報士になる方法や道のりは、人によりさまざまですが、一般的には企業の求人をハローワークやインターネットで検索するか、企業説明会を利用する流れでしょう。
例えば、就職先には、放送局(テレビ、ラジオ)、民間の気象会社、民間の気象研究機関などがあり、そこで採用試験を受けることになります。
テレビ局の気象予報士になりたい場合、局が行うスクールに通ってそのまま放送局に入社できるパターンも。
このように、気象予報士になるためには、「資格修得」と「企業の求人合格」の両方が必要になります。
試験内容と科目について
試験は、気象業務支援センターが、毎年1月と8月の下旬に行います。
会場はそれぞれ「北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県、沖縄県」の6都道府県です。
試験内容は、「学科試験(選択式)」と「実技試験(記述式)」の2つに分けられています。
更に、学科試験の問題は、大きく2つに分類されており、一つは「予報業務に関する一般知識」、もう一つは「予報業務に関する専門知識」で、問題は5者択一のマークシート式で、各15問が出題。
実技試験では実際に試験内容で提示された情報を元に、気象予測などをする記述式です。
だいたい、毎回3,000人前後の受験者がいます。
受験資格には、年齢・性別・国籍などの制限がないため、やりたいと思ったときから始められるメリットも。
また、1年以内に再び受験すると、前回合格した科目は免除される仕組みになっています。
受験費用はそれぞれ、
・全学科受験……11,400円
・学科1科目が免除の人……10,400円
・学科2科目が免除の人……9,400円
以上の金額です。
NHK気象予報士はどんな仕事?民法にはないルールとは?
NHKの気象予報士には、「公共放送」のイメージを壊さないために、自社で決められたルールがあります。
NHKの番組と言えば、視聴者に寄り添った番組が多く、情報を正確に届ける意味で、しっかりと事実に基づいた番組構成になっています。
民法などの天気予報に比べると、お堅いイメージが浮かぶ人も多いでしょう。
「公共放送」=公共の福祉のために行う放送という意味があり、民放とは違い、視聴者の受信料が運営資金になっています。
そのため、『NHK=良識のある番組を放送するイメージ』も強く、子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人が見ており、たとえ天気予報でも、不快や誤解のない表現や内容にする必要があるでしょう。
実際に、NHKの番組内では、「原稿を一言一句間違えられない緊張した雰囲気」があるようです。
例えば、「原稿通りに読むことを徹底する」というものがあります。
民法などでは、自分なりの解釈や原稿に加えて伝えることも多いですが、NHKでは自社の研修でも、とにかく原稿のまま読むことを指導されます。
「天気予報の番組内では、イラストを使った見せ方があまりできない」ため、仲間の女子アナと協力して身体表現を使い、天候のイメージを分かりやすく伝える工夫をすることも。
他にも、「ゴールデンウィークの単語はNGで、大型連休と呼ぶ」など、自社独自の細かいルールを設定しているそうです。
また、NHKでは衣装を全て買い取って着まわすという決まりも設けられています。
もちろん、的確に情報発信することは仕事上大切ではありますが、NHKでは特にその傾向が強いのです。
NHK気象予報士になる方法は?
NHKの気象予報士になる道は、いくつかの方法があります。
例えば、NHKのアナウンサーとして放送局に就職後、資格を修得して、気象予報士になるパターンです。
NHKの放送局に入社するためには、書類選考や一次~三次試験(面接や筆記など)に合格する必要があります。
また、他の民間気象会社からオファーが来て、派遣されるというパターンも含まれます。
この場合、まず民間の気象会社に就職をすることが必要です。
どちらの場合も、気象予報士の国家資格を持っていることが条件と言えるでしょう。
気象予報士の資格修得と放送局への入社という両方を突破しないといけないため、大変な道のりではあります。
NHKのアナウンサーから気象予報士になった前例の方も、最初からアナウンサーの仕事をしていたわけではなく、全然畑違いの別会社で就職をして、その技術と努力が認められてNHKに入社できたのです。
大学在学中に、NHKの就職面接や書類先行でアピールできる何かを作っておくことをおすすめします。
また、民間会社の求人を受けて、気象予報士としてのスキルや実績を作ってから、派遣を狙うという方法も考えられるでしょう。