舌の筋肉
コロナ禍によるマスク生活が長く続き、表情筋や口の周りの筋肉の衰えを実感している人も多いのではないでしょうか。
その中でも最近は、舌の筋肉に対する関心が高まっています。
舌の筋肉(舌筋)は、内舌筋と外舌筋に分けられますが、内舌筋は、舌の形を変える働き、外舌筋は舌の位置を変える働きをしています。
舌の筋肉は、咀嚼や発声などに関わりますが、食べこぼしや誤嚥でむせるようなことが増えたら、舌の筋力が低下してるかもしれません。
舌の筋力の低下は、体に悪影響を及ぼすこともあり、反対に舌の筋肉を鍛えることでのメリットもたくさんあります。
舌の筋肉を鍛えるメリット
では、実際に舌の筋肉を鍛えるメリットを見ていきましょう。
【舌の筋肉を鍛えるメリット】
舌の筋肉を鍛えるメリット①口呼吸を改善する
舌の筋力が衰えると、下あごの方に向かって舌が下がるので気道を圧迫するため、鼻での呼吸がしづらくなり、口呼吸になりやすいです。
舌の筋力を鍛えておくことで、鼻呼吸がしやすくなります。
舌の筋肉を鍛えるメリット➁美容効果がある
舌の付け根の方にある舌骨筋の周りの筋力を鍛えると、フェイスラインが引き締まり、首元のたるみや二重顎の改善に繋がります。
舌の筋肉を鍛えるメリット③歯周病・口臭の予防
舌の筋力を鍛えるために、舌を活発に動かすことで、唾液腺が刺激されます。
唾液の分泌が増えると、唾液による殺菌作用・抗菌作用で、菌やウィルス感染を防ぐとともに、口の中の虫歯菌や歯周病予防、さらには口臭の予防にも効果があります。
舌の筋肉を鍛えるメリット④いびきの改善
舌を鍛えることで、口呼吸が改善されるため、いびきの改善にも繋がります。
舌の位置が下がることは、いびきの原因とも深く関わってくるので、体重の増加や老化だけでなく、舌の筋力が低下することもいびきをかく原因となります。
舌の筋肉を鍛えるメリット⑤滑舌がよくなる
舌の筋力が衰えると、舌の動きが悪くなり言葉を発音しづらくなります。
「上手く舌が回らないな」と感じたら、舌の筋力を鍛えるトレーニングで改善できるでしょう。
舌の筋力を鍛えると、健康や美容など様々なメリットがありますね。
舌の筋肉が弱い原因
舌の筋力を保つことができれば、良いことがたくさんあるのは分かりましたが、もともと舌の筋力が弱い人もいます。
さらには、何かきっかけがあって、舌の筋力が弱くなったと感じている人もいるかもしれませんね。
そこで、舌の筋力が弱くなる原因を知っておきましょう。
【舌の筋肉が弱い原因】
舌の筋肉が弱い原因①人と会話する機会が少ない
声を出して会話している時には、舌も活発に動いています。
普段何気なく話している時の舌の動きでも、舌の筋力を使っていますが、最近はコロナ禍の影響もあり、人と会話をする機会が減っています。
1人暮らしの人や、仕事でもコミュニケーションが少ない人は、注意が必要です。
舌の筋肉が弱い原因➁全身の筋力が弱い
舌も筋肉なので、全身の筋肉とのかかわりも深く、握力や脚力が弱い人ほど、舌の筋力も弱い傾向にあるというデータもあります。
運動不足であったり、元々筋力が付きにくい人は、舌の筋肉も弱い可能性があると考えておきましょう。
舌の筋肉が弱い原因③老化
全身の筋力は、年齢を重ねるたびに衰えていきます。
高齢になっても、若い時の筋力を保つためには、筋力トレーニングを継続しなければいけません。
年齢を重ねるたびに、舌の筋肉も衰えて弱くなるのは自然なことです。
しかし、舌の筋力低下による体の不調を防ぐためには、舌の筋肉を鍛える習慣は欠かせません。
舌の筋肉が弱い原因④食生活が偏っている
全身の筋肉を鍛えている人は、プロテインを飲んだり、食事でも質の良いタンパク質をしっかりとるように心がけています。
舌の筋肉も同じように、食べるものが影響します。
肉など、筋肉のもととなるタンパク質をあまり食べない人も、舌の筋肉が弱くなります。
さらに、加齢による舌の筋肉の衰えが原因で、肉が食べづらくなり、避けてしまうことが原因で、舌の筋力低下を加速させてしまうこともあります。
舌の筋肉を鍛えるために最初にやっておくべきこと
舌の筋肉を鍛える前に、舌の正しい位置について知っておきましょう。
普段、テレビを見ている時など、リラックスしている時に、舌は口の中のどの位置にありますか?
①舌先が前歯の裏に当たっている
➁舌先が下あごの方に下りている
③舌先が上あごの裏に当たっている
この中で、正しい舌の位置は、③の舌先が上あごの裏にあたっている状態です。
①のように舌先が前歯に当たった状態でいると、上顎前突(出っ歯)の原因になる恐れがあり、➁のように舌が下あごの方に落ちていると、気道を塞いでしまい、口呼吸の原因になっています。
舌の筋肉を鍛えるためには、まずは普段から舌を正しい位置にしておくことを意識しましょう。
舌の筋肉を鍛えるトレーニング
リラックスしている時にも、舌を正しい位置におくことが意識できれば、次はいよいよ舌の筋肉を鍛えるトレーニングをやってみましょう。
舌の筋肉を鍛えるトレーニング
トレーニング方法①舌を回転する
舌をぐるぐると回転させることで、舌の筋肉をまんべんなく動かして鍛えることができます。
舌を回転するトレーニング
・口を閉じて上唇と上歯茎の間に舌を入れる
↓
・そのまま右回りに、下唇と舌歯茎の間を通って最初の位置まで戻る
↓
・5回繰り返す
↓
・同じように左回りも5回繰り返す
舌が歯の上ではなく、歯茎の上を通るように気をつけましょう。
最初は左右5回ずつ続けて回すのが辛いかもしれませんので、右回りと左回りの間に休憩してからでも大丈夫です。
トレーニング方法➁舌を上下に動かす
舌の筋肉が低下すると、舌を上にあげると疲れてしまい、下あごの方に落ちた状態が続いてしまいます。
舌の上下運動で、普段から舌を上顎に当てる練習をしておきましょう。
舌を上下に動かすトレーニング
・舌先に力を入れて上顎を上に押す
↓
・10秒間キープする
↓
・口を開けて舌を出し「べー」と舌に向かって伸ばす
↓
・10秒間キープする
この動きを1日3セット行います。
トレーニング方法③舌を前後に動かす
舌を前後に動かすと、舌の付け根が鍛えられるので、加齢による舌の筋力低下を改善できます。
舌を前後に動かすトレーニング
・口を開けて舌を思いっきり前に出す
↓
・10秒間キープする
↓
・舌先を舌の根元の方向に向ける
↓
・10秒間キープする
毎日繰り返すことで、舌の筋力低下をストップさせましょう。
トレーニング方法④口周りの運動
舌の筋肉は、口周りの筋肉を鍛えることでも動きやすくなります。
口の周りを動かすトレーニング
・口を閉じて頬に空気を溜める
↓
・10秒間キープする
↓
・次に口をすぼめて唇にグッと力を入れる
↓
・10秒間キープする
他にも、風船を膨らませるのもおすすめです。
トレーニング方法⑤あいうべ体操
最近では健康法としてもよく知られている「あいうべ体操」も、舌の筋肉を鍛える効果があります。
あいうべ体操
・口を大きく開けて「あー」と言う
↓
・首の筋肉まで意識して口を横に広げて「いー」と言う
↓
・口周りの筋肉を意識しながら「うー」と言う
↓
・あご先に舌をつけるイメージで「べー」と言う
最初は1日に10セットから、負担のない程度に増やしていきましょう。
舌の筋肉を鍛える健康法
舌や口周りの筋肉を鍛えると、いびきやアレルギー症状の改善効果など健康面での効果も期待できるだけでなく、顔や首まで影響するため、肩こりの軽減などの効果も報告されています。