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役者のオーディションで押さえておくべき重要ポイントは?

どんな役者を目指す?

一口に役者といっても、「フリーの役者」「劇団に所属する役者」「事務所に所属する役者」といった種類があります。どの立場で受けるかによって、受けられるオーディションの種類が違ってくるので、オーディションを受ける前に、どのタイプの役者になるかを決めておく必要があります。まず、フリーの役者は特定の団体に所属せず、自分で活動を管理できるメリットがあります。報酬に関しても、全額が手元に入るのは大きな魅力です。ただし、実力はもちろん、マネジメント能力もないと仕事を獲得しにくいデメリットもあります。ちなみに、フリーの役者が受けるオーディションは「配役決定オーディション」が中心です。

一方、「劇団の役者」「事務所の役者」は特定の団体に所属することで仕事のチャンスが広がるメリットがあります。そのかわり、応募後のオーディションで結果を残さなければいけません。また、所属したからといって、自動的に仕事をもらえるわけではなく、「配役決定オーディション」を受けてキャリアを重ねていきます。ただ、オーディションに関する情報がフリーの役者よりも収集しやすいのは魅力です。オーディションによっては、「メインキャストと同じ事務所であること」などの要素が有利に働くときもあります。

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プロダクションや劇団の特徴を知る

プロダクションや劇団は、それぞれ特徴があります。求める芝居の内容や得意とするジャンルなども異なるので、自分のなりたい役者像とぴったり合うプロダクションや劇団を選ぶことが大事です。たとえば、プロダクションとは一般的に「芸能事務所」とも呼ばれている会社です。プロダクションは所属タレントのマネジメントを行い、スキルアップやオーディション合格のサポートをしてくれます。ただし、プロダクションによって「演技部門」「テレビタレント部門」「歌手部門」など、力を入れているジャンルが変わります。役者としてオーディションを勝ち抜くには、まず「演技部門」に力を入れているプロダクションに所属しましょう。

一方、劇団は舞台を中心に活動している団体です。所属俳優に給料を払ってくれる大きなところから、小劇場で不定期的に公演を行っているところまでさまざまな種類があります。プロダクションも劇団も数が多いうえにそれぞれの個性が大きく違うため、まとめて説明しづらい面があります。大切なのは、所属オーディションや入団オーディションの要綱をしっかりと読み込み、応募先の特徴を理解してから本番に備えることです。

オーディションの流れを理解する

役者はどんな流れでオーディションが行われるのかをあらかじめつかんでおくと、本番も落ち着いて受けられます。一般的な「所属オーディション」「入団オーディション」では書類審査の後、通過した人を対象に説明が行われ、面接や実技審査が行われます。面接では自己紹介や志望動機などの基本的な質問のほか、趣味や特技などの話題から候補者の個性を浮き彫りにしようとすることも珍しくありません。また、高確率で自己PRも求められます。役者になりたいという強い気持ちを見せて、審査員の心をつかめるかどうかがポイントです。

プロダクションでは通常オーディションのほか、「公開オーディション」という大々的な募集をかけることもあります。オーディションの内容は一般公開され、合格までの過程が見えるようになっています。審査も二次、三次と段階が増えているパターンが多く、合格者は好待遇でプロダクションに迎え入れられます。ただし、公開オーディションは通常オーディションに比べて圧倒的に応募者が多く、役者志望者にとっての狭き門だといえます。もしもオーディションに落ちてしまっても、年齢制限などがない限り「2度と受けられない」というケースはまれなので、しっかり反省点を見直してから再挑戦してみてもいいでしょう。

劇団に所属するなら傾向をつかもう

舞台役者を目指す場合は、プロダクションに所属する以外に、劇団に所属するという方法があります。劇団所属の場合、劇団の舞台出演がほとんどになるので、劇団がどんなジャンルの演劇を行っているか、どんな芝居を求めているかを正しく理解することが大事です。たとえば、「コメディ専門」「社会派」「前衛的」など、劇団によってまったく特色が異なります。どんな客層に向けて、どんな作品を上演している劇団なのかをしっかりリサーチしてから、入団オーディション対策を練りましょう。

そもそも、自分の個性に合った劇団を見つけることが先決です。役者としての個性ももちろんですが、劇団が「新人教育に力を入れているかどうか」にも注目して探してみましょう。新人を歓迎している劇団は、特徴に合う素材がいれば実力が荒削りでもオーディションに受からせてくれることがあります。そして、時間をかけて新人を一人前の役者へと育ててくれます。一方、新人とはいえども一定の実力を求めてくる劇団も少なくありません。こうした劇団は入団オーディションの難易度も高くなります。現時点での自分の実力を冷静に踏まえながら、「入団してからスキルアップするか」「スキルアップしてからレベルの高い劇団に入団するか」も考えてオーディションを受けましょう。

審査員の目に留まることが大事

比較的、プロダクションに顕著な傾向として、「実力以上に人間性が重要視される」点が挙げられます。所属オーディションでは演技の上手下手以上に、審査員の目に留まることがとても重要です。なぜなら、芸能界では礼儀や自己管理が徹底していなくては成長できないからです。人間的に問題がある役者を合格させ、投資したいと考えるプロダクションは少数派でしょう。また、映画や舞台、ドラマの現場では協調性が求められます。オーディションで常識外れの印象を与えてしまう役者は、現場でも迷惑をかける恐れがあります。オーディション会場ではスタッフや審査員に好印象を与えるように気をつけましょう。

そもそも、オーディション時点で候補者たちの演技力は、審査員の目から見ると横一線になりがちです。そのため、卓越した演技力がない限り、演技力だけで勝負に出ようとすると、オーディションを受けに来たほかの人たちの中に埋もれてしまいやすくなります。逆に、演技力がやや物足りなくても人間的な魅力を伝えられれば、「演技力さえ磨けば面白い役者になるのではないか」と審査員に感じてもらえる可能性が出てきます。大前提としてオーディションで求められている演技の課題は全力でやるべきですが、同時に自己紹介や自己PRも緻密に用意し、審査員の心を動かす努力をしましょう。

自分の個性を見出して磨こう

プロダクションのオーディションであれ、役のオーディションであれ、他人にない何かを求められることには変わりがありません。自分にしかない個性を見出し、それを磨きましょう。ただし、「何か」の正体はオーディション内容によって異なります。ライバル候補者たちに差をつけるためには、オーディションの意図や目的をしっかりとリサーチして、審査員の望む姿を見せられるように準備しましょう。

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