履歴書の「自己紹介」の欄。
「何を書けばいいの・・・」と、履歴書を前に頭を抱える方は少なくありません。
自己紹介欄は、特に指定はなく自由に記入ができます。しかしまったく的外れな内容を書いてしまうと、むしろ不合格の原因になりかねないので要注意。
書くべきは、「面接官ウケする内容」です。
自由記述だからこそ、あなたという人材を最大限にアピールできるチャンス。まだあなたと対面していない「紙」の選考段階では、紙から読みとれる「やる気」がすべてです。自己紹介欄を有効活用して、書類選考通過の連絡を勝ち取りましょう。
◎自分の経験をアピールする
履歴書の自己紹介欄で最も多いのは、自分の経験をアピールすること。
新卒での面接なら学生時代に培った経験、転職での面接なら前の会社で身に付けたスキルなどが定番です。
例えば新卒なら、「私は、とても忍耐強い性格です。小学校から現在まで、ずっと剣道を続けてきました。稽古が心身ともに辛いことは幾度となくありましたが、自分なりにどうすればもっと向上するのかを考え練習してきた結果、県大会や全国大会で良い成績を収めることができました。私が剣道を通じて身に付けた忍耐と不屈の精神は、これからの人生にも大きな糧になると信じています。この経験を御社でも生かし・・・」などが良いでしょう。
また転職なら、「私は常に向上を目指しています。前の会社では〇〇の職種で働いてきました。毎日自分なりに目標を立て、その目標を達成すべく実践をしてきた結果、その功労を表彰されたこともあります。『どうすれば今よりもっと良くなるか』を常に考え続ける創意工夫の精神は、私の中にずっと染みついています。この前職で身に付けた経験を御社でも生かし・・・」などが理想です。
◎自分の長所をアピールする
もしも、「アピールできるような経験が何もない」という場合は、長所をアピールするだけでも充分に有効です。
「そうは言っても長所なんて・・・」と悲観する必要はありません。面接の場においてよく使われるのは、「忍耐強い」「創意工夫が得意」「気配りができる」など定型句が決まっています。
例えば事務職を希望するなら、「忍耐強く、一つの作業を集中してコツコツとこなすことができます」や「気配りが得意で、周囲の雰囲気を和らげながら円滑なコミュニケーションを取ることができます」などが理想でしょう。
またものづくりなど製造系の仕事を希望する方は、「昔から創意工夫が得意で、『これを解決できるモノはないかな』と感じたときに、自分でモノを作ることもたくさんありました。ゼロから新しいモノを生み出すのは簡単なことではありませんが、その分完成したときや家族に喜んでもらえたときはやりがいを感じます。この特技を御社でも生かし、試行錯誤を繰り返しながら御社と共により良いモノを・・・」などが良いでしょう。
経営方針への共感
面接官は、「いかにこの会社に貢献してくれそうな人材かどうか」を見ています。
特に給与面や福利厚生が魅力的な会社は、その会社のことを深く知ろうともせずに表面的な情報だけで応募してくる方が後を絶たないはず。
しかし自己紹介欄の中で経営方針に触れ、共感の姿勢を見せることで、「この応募者は私たちの企業について深く調べてくれたんだな」と面接官が好感を持つことが期待できます。自己紹介文の最後に「御社と共に成長を目指して・・・」など『共に』という単語を挿入すれば、さらに効果的でしょう。
例えば、「私は今日まで、〇〇の分野で努力を続けてきました。御社が目指す△△は、まさに私が目標とする〇〇と同じです。私の〇〇を活かしながら、御社が目標とする未来へ向かって共に成長していけたらと思い・・・」などが良い例です。
◎キャリアアップを目指す姿勢
もし前職の業務内容と転職先の業務内容が似ているのなら、キャリアアップを理由にするのも一つの方法です。
例えば「前職では〇〇に携わってきました。腰を据えて働き、〇〇を極めたかったのですが、人事異動に伴い他部署に配属となりました。しかし私としては〇〇のプロを目指したかったので、人事担当に申し出たのですが聞き入れていただけず、〇〇ができる仕事をずっと探していました。御社の求人を見つけたとき、〇〇だけではなく△△や××にまで携わっているということで、自分のキャリアアップのためにはまさにこの会社しかないと・・・」などです。
今までに自分が身に付けたスキルがそのまま活かせそうなら、とても良いアピールポイントになるでしょう。
◎より良い自己紹介作成のためのワンポイント
一生懸命に考えた自己紹介文。さらに面接官の目に留めてもらうために、作成時のワンポイントアドバイスをお教えいたします。
伝えたい内容は同じでも、コツを押さえた書き方をすればさらに好印象を残せますよ。
■言いたいことがいくつもあるときは箇条書きで
例えば「前の会社で身に付けたスキル」を書くとき。伝えたいスキルがいくつもある場合、それを文章の中にそのまま入れると、「〇〇と、△△と、××と、□□と・・・」のようになんだか要領を得ない長文になってしまいます。
もし言いたいことがいくつもあるときは、箇条書きをしましょう。
自己紹介欄はサイズが決まっているのでそれほど羅列はできませんが、「要点を端的に伝えられる」というのも一つのスキル。面接官の目にはきっと、要領よくテキパキと仕事をこなすあなたの姿が目に浮かぶことでしょう。
■文字が小さくなっても長文で埋める
もしあなたが面接官の立場だった場合、2~3行しか書かれていない自己紹介文と、その倍の6~7行で埋められている文章、どちらに好感が持てますか?
多くの場合は、後者でしょう。自己紹介欄といっても狭いので、6~7行も使うとなると文字サイズをかなり縮小しなければなりません。しかしそれでも、長文で埋められた自己紹介文には好感を持つはずです。
文章の長さは、その人の「やる気」を示すバロメーターといっても過言ではありません。数行程度しかアピールが記入されていないと、「なんとなく応募したんだな」と悪い印象を与えかねないのです。
つまり長文のほうが、効果を発揮します。長文は、「伝えたいことがありすぎて、この欄では自分の熱意が収まりきりませんでした」という熱い気持ちを表します。文字は小さくなっても、余すことなく熱意や意気込みをアピールしましょう。
■冒頭に結論を持ってくる
長文といっても、単に「だらだら長い文章」ではいけません。
最後まで読みきる前に「結局なにが言いたいの?」と思われては、本末転倒。
長文を作成するときには、冒頭の一文で結論を提示しましょう。あとの文章は、その説明に徹するのです。
例えば、「御社で働きたいと考えている理由は、〇〇だからです。なぜなら・・・」のように、冒頭でズバッと結論を書きます。その後は、理由など「そう考えた背景」について書いてください。文章全体が引き締まるうえ、読み手としても文章の内容が理解しやすいことでしょう。
◎まとめ
自己紹介欄は、職歴欄とは違い「書いても書かなくても良いもの」だと思われがちですが、自己紹介欄の内容で合否が決定する、といっても過言ではないほどに実は重要な項目。
特に書類選考の段階では、紙から読みとれる人柄がすべてです。「本当に会社を任せて良い人材なのか」を判断してもらうには、自己紹介欄を活用するしかありません。
東京大学卒業の肩書を持つ応募者だって、自己紹介欄が空白や「よろしくお願いします」だけでは目にも留めてもらえないでしょう。
つまり合否は、自己紹介欄をいかに活かせるかに掛かっています。この記事を参考に、面接官にウケる自己紹介の書き方をぜひ実践してみてください。